【世界のスラム街】その高さは190メートル!!超高層スラム「ダビデの塔」
Tower of David
世界一高いスラム「ダビデの塔」
「ダビデの塔」というとイスラエル・エルサレムの旧市街の城塞として残る歴史的な建築遺産が非常に有名ですが、南米ベネズエラの首都カラカスにも同じく「ダビデの塔」と呼ばれる象徴的な建築物があります。
超高層ビル群がまるごとスラム化したベネズエラの「ダビデの塔」のモノクロ写真シリーズ「The other side of the Tower」/Daily News Agency.2015
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【世界のスラム街】危険度MAX!!破綻国家ベネズエラの“首都カラカス”……の中で最も危険なエリア「ランチョ」
その由来は……。
セントロ・フィナンシエーロ・コンフィナンサス(Centro Financiero Confinanzas)はベネズエラのカラカスにある超高層建築物。ベネズエラで3番目の高さの超高層ビルである。開発主のディヴィッド・ブリレンブルクにちなみトーレ・デ・ダビ(Torre de David)、ディヴィッド・タワー、ダビデの塔とも呼ばれる。
セントロ・フィナンシエロ・コンフィナンサス(ディヴィッド・タワー、ダビデの塔) 概要・歴史廃墟検索地図
超高層ビルがまるごとスラム化!
南米・ベネズエラの首都カラカスの下町にそびえ立つ「ダビデの塔」は、ベネズエラ全土で3番目の高さを誇る地上45階、高さ190mの超高層建築物。
超高層ビル群がまるごとスラム化したベネズエラの「ダビデの塔」のモノクロ写真シリーズ「The other side of the Tower」/Daily News Agency.2015
ヘリコプター離着陸場を備え、アビラ山の素晴らしい眺めが臨めるこのビルは、おそらく世界で一番高い「スラム街」なのだ。
ベネズエラ首都に超高層「スラム街」、3000人に安全を提供/REUTERS.2014
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【危険】人呼んで犯罪の巣窟
このダビデの塔、ご多分に漏れずに漏れず外からは犯罪とドラッグの温床、泥棒の巣窟と呼ばれ、警察は頻繁に誘拐の被害者の捜索のためとして手入れを行っています。
ベネズエラの首都にそびえ立つ世界最高層のスラム街「ダビデの塔/Buzzap!.2014
実は外より安全?「ダビデの塔」の生活
しかし、実際はトーレ・デ・ダビに住む人々の多くは、犯罪が多発する近隣のスラム街から避難するために移住してきた人が多く、ビルの内部のほうが周辺のスラム街よりも安全で快適だという意見もあるといいます。
ベネズエラの超高層“スラム街”に学ぶ「創造的な家のアイデア」/稲崎 吾郎.ROOMIE.2016
もともとトーレ・デ・ダビの内部は人が住めるような環境ではなく、高層ビルというよりもコンクリート打ちっぱなしの工事現場のような状態でした。
ベネズエラの超高層“スラム街”に学ぶ「創造的な家のアイデア」/稲崎 吾郎.ROOMIE.2016
未完成の為、床が抜けていたり、バルコニーに囲いがなかったりと、かなり危険な状態ではあるのだが、住民らは自分たちで電気、水道などの設備を設け、床屋や食堂、フィットネスクラブなどの施設を作り、共同で暮らしているという。
世界で一番高い場所にあるスラム、45階建ての高層ビルが丸ごとスラム街に。ベネズエラ「ディヴィッド・タワー」廃墟/ガラパイヤ.2013
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自治会を存在 !住民たちで維持管理
住人たちは共同の電気や水道システムを使用し、24時間のセキュリティパトロールを雇うために共益費として200bolivar(約3250円)を支払います。フロアの代表者と組合も存在しており、共有部の清掃やルールの制定、当番の決定なども行っています。塔の中ではビジネスも行われており、美容室、歯医者、デイケアセンター、倉庫、衣料品店などが揃っています。
ベネズエラの首都にそびえ立つ世界最高層のスラム街「ダビデの塔/Buzzap!.2014
住人たちは駐車場を通じて出入りし、そこからバイクで10階まで立体駐車場の中を移動することができます。28階までの階層には配管設備が整えられて家族連れが暮らしていますが、10階以上に上るためのエレベーターは存在しておらず、階段を登るしかありません。
ベネズエラの首都にそびえ立つ世界最高層のスラム街「ダビデの塔/Buzzap!.2014
住民たちはビル内の秩序を守る自治組織を作って交代で床の清掃や共用部の維持管理をしているほか、計画を立てて文化活動、スポーツイベント、宗教行事を行っている。
ベネズエラの「高層スラム街」、不法居住者の退去開始/AFPBB News.2014
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“金融センター”になるはずだったのに……。「ダビデの塔」の歴史
1990年に新しい金融センターとして着工。投資家のダビ・ブリレンブルグの名にちなみ「ダビデの塔」と呼ばれる。
その高さを誇ったまま放棄されてしまった世界10の超高層ビル/ガラパイヤ.2017
1993年、金融危機とこのビルの所有者で投資家のダビド・ブリレンブルグ(David Brillembourg)氏の死去によって建設は中断された。
ベネズエラの「高層スラム街」、不法居住者の退去開始/AFPBB News.2014
翌年の1994年には金融危機が襲った後、このダビデの塔は政府の管理下に置かれることになります。
ベネズエラの首都にそびえ立つ世界最高層のスラム街「ダビデの塔/Buzzap!.2014
慢性的な住宅難を背景に、人々がこのタワーに目をつけたのは極まる住宅不足のまっただ中の、2007年のことだった。
世界最高層のスラムビル、デイビッドタワーにさようなら/ベネズエラで起きていること.2015
2007年から貧困者が不法占拠し始めたが、当時のチャベス政権も見て見ぬふりをしていた。
ベネズエラ首都に超高層「スラム街」、3000人に安全を提供/REUTERS.2014
2007年にウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領(当時)が許可したことから、ギャングやホームレスの人たちが住み着き、武装した警備員が見守る一時しのぎの住宅として他者を寄せ付けない現在の姿に変貌していった。
ベネズエラの「高層スラム街」、不法居住者の退去開始/AFPBB News.2014
El Centro Financiero Confinanzas es un rascacielos que prometía para los 90s ser uno de los más modernos de la capital.
— Venezuela Inmortal (@Vzla_Inmortal) July 26, 2020
Con la crisis bancaria del 94 quedó en bancarrota y en un limbo legal. Fue invadido y pasó a ser el barrio vertical más grande y peligroso de Latinoamérica. pic.twitter.com/T0a6zQtJGu
「ここを破壊する」軍による強制退去
ベネズエラの首都カラカス(Caracas)で22日朝、「高層スラム街」として知られギャングの温床にもなっている45階建ての高層ビル「ダビドの塔(Tower of David)」の不法居住者を退去させる作業が始まり、軍当局が100世帯以上を退去させた。
ベネズエラの「高層スラム街」、不法居住者の退去開始/AFPBB News.2014
退去した人たちは政府が提供する低所得者向け施設に移動するという。
ベネズエラ「世界最高層のスラム街」、不法居住者の退去始まる/REUTERS.2014
マドゥロ大統領は23日、「ダビドの塔」が「社会から否定的にみられている」とし、対話と理解を通じてこの問題を解決したと述べた。退去完了後にはビルを取り壊す可能性があるという。
ベネズエラ「世界最高層のスラム街」、不法居住者の退去始まる/REUTERS.2014
チャベス氏の後継者であるマドゥロ大統領は不法入居者の退去を勧告した際、ダビドの塔を破壊し、新たな団地をつくるか、金融センターとするかなどの提案を行ったとされる。
犯罪天国ベネズエラの世界最高層スラム「ダビドの塔」に中国が目をつけた…/iza.2014
これに対し、ベネズエラの担当大臣は、退去は人道的な理由で中国の企業とは関係ないと否定した。
犯罪天国ベネズエラの世界最高層スラム「ダビドの塔」に中国が目をつけた…/iza.2014
「ダビデの塔」が舞台の作品
「The other side of the Tower」は、ベネズエラ・カラカス出身の写真家 Alejandro Cegarra 氏による作品。ライカのカメラを生み出したドイツの精密機械エンジニア オスカー・バルナック(Oskar Barnack)の名前を冠した写真コンテスト「Oskar Barnack Award 2014」でニューカマー賞を獲得しています。
超高層ビル群がまるごとスラム化したベネズエラの「ダビデの塔」のモノクロ写真シリーズ「The other side of the Tower」/Daily News Agency.2015