新型コロナウイルスとの闘いが続く2021年、新しい生活様式が徐々に広まり、都市の活気が再び芽生えつつありました。
復活への期待と、感染拡大を懸念する声が入り交じる中、渋谷ハロウィンは再び混沌とした状況に立ち戻ることになりました。
《渋谷ハロウィンの歴史②》犯罪、暴動、パンデミック。渋谷区の挑戦と対策
Shibuya Halloween
パンデミックの終わりと渋谷ハロウィンの復活
ハロウィンの季節、かつての東京・渋谷の風景は数千人の若者たちによる賑わいで、都市の文化として確固たる地位を築き上げてきました。
街の中心部は仮装した若者たちで溢れ、渋谷の交差点は、日本のハロウィンの象徴として、国内外から多くの人々が訪れるスポットとなっていました。
しかしその様子も、2020年のコロナ禍によって一変。昨年のハロウィンは、過去数年間で見たことがないほどの静けさを保っていました。
感染症のリスクが高まる中、多くの若者たちは自宅での過ごし方を選び、渋谷の街は例年よりもはるかに静かなものとなりました。
新しい生活様式の中での渋谷ハロウィン(2021年)
2021年、新規感染者数の減少や緊急事態宣言の終了など、一連のポジティブなニュースが報じられる中、新型コロナと共存する「新しい生活様式」が広がり、都市の活気は徐々に戻りつつありました。
特に10月25日からの飲食店の時短営業の解除は、夜の街の賑わいを取り戻す大きな機会となりました。
しかしその一方で、新型コロナの第6波の到来を懸念する声も根強く、公的機関や多くの都民は注意喚起も続けていました。
コロナ禍での取り組みと国民の反応
新型コロナウイルスの影響が続く2021年、渋谷区はハロウィンの際の混雑を懸念。第6波の到来を恐れ、感染拡大を防ぐための対策を練っていました。
- 渋谷区の呼びかけ:2021年10月21日、渋谷区の長谷部健区長は、ハロウィン期間中の集まりに関しての注意を呼びかける記者会見を開きました。主に、「ハロウィンは自宅で楽しむこと」と「渋谷に来る際はモラルを持って行動すること」を強調しました。
- 対策の詳細:ハロウィン当日である31日が日曜日ということや、都の飲食店に対する営業制限の緩和がある中、人出の増加が予想されました。このため、渋谷駅周辺での飲酒を制限する措置や、警備員約100人を配置するなどの取り組みが明らかにされました。
- 国民の反応:SNS上では、「渋谷のハロウィン」がトレンド入り。多くのユーザーが情報共有や意見交換を活発に行っていました。特に、コロナ禍での大規模なイベントについての賛否や、区の対策に対する評価など、さまざまな声が挙がっていました。
続くコロナ禍の中での対策と期待
2021年、渋谷区は前年と同様の新型コロナウイルス感染拡大防止対策を展開。ハロウィン期間中の行動に対する注意喚起や各種取り組みを強化しました。
- 渋谷区の条例と啓発:2019年に制定された路上飲酒や喫煙禁止の条例が2021年も10月28日から施行されました。渋谷の主要なエリアには、路上での飲酒や喫煙の自粛を促す標語が書かれた看板やサイネージが多数掲示されました。特に目を引くのは「ルールを守る人が渋谷を守る人」というメッセージです。
- 商店の協力:渋谷区内の多くの商店が、ハロウィン期間中の混雑や混乱を避けるために酒類の販売を自粛。また、ビルの窓ガラスに“目張り”を施すことで、高い位置からの群衆の撮影を避ける対策も取られました。
- 渋谷センター街の取り組み:渋谷センター街では、来訪者の自粛を促す「ハロウィーンはおうちで過ごそう」というメッセージが含まれたフラッグが掲示されました。渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長も、感染対策を徹底している商店街として、来訪者たちの節度ある行動を期待するコメントを発表しました。
人出増加とトラブルの再燃
10月29日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言の解除やイベント制限緩和を受けて、渋谷ハロウィンの期間がスタートしました。
セキュリティ対策として、スクランブル交差点やセンター街には警察官や警備スタッフが大挙して配置され、路上での飲酒や喫煙、無秩序な写真撮影などを監視・注意していました。
社会の様々な場面で「新しい日常」が模索されている中、渋谷ハロウィンもその一部として変わりゆく光景を見せていました。
この日は、過去のようなハロウィンの熱狂は見られなかったものの、それでも多くの人が集まっていました。
特にマスクの着用者が目立ち、公衆の感染対策の意識の高まりを示唆していました。しかし、夜が更けるにつれてトラブルの報告が増え、前年のような混乱に陥る場面も見受けられました。
本番前夜
翌30日(「曜日)は、予想を超える人出で渋谷は賑わっていました。特に夜になると多くの人が集まり、一時的な混雑やトラブルの報告が相次ぎました。
仮装する人の数は前日に比べても増え、ハロウィンの雰囲気が徐々に高まっていました。
2021年渋谷ハロウィン本番「再拡大の懸念と盛況の背後に隠れた不安」
緊急事態宣言の解除後、多くのイベントが復活の足音を立てる中、10月31日のハロウィンは特に注目を浴びることになりました。
しかし、この日の渋谷はあいにくの雨模様であり、大きな混雑はないのではないかとの予測がされていました。
ところが、夕方19時を過ぎに雨が止むと、次第に人々が集まり始めました。
特に、JR渋谷駅ハチ公口近辺は、人で溢れ返り、スクランブル交差点の渡り時間が通常よりも遥かに長くなる事態となりました。
この混雑は、深夜にかけてさらに増加。実際に、深夜の時間帯の人出は、通常の2倍程度に達したとされています。
明らかに、前年の2020年と比べて、大幅に人出が増えており、ブームが終わったと言われていた渋谷ハロウィンが、まだまだ健在であることを示しました。
その一方で、飲食店関係者や一部の国民からは、このあまりにも密の状況を見て第6波の到来を心配する声も多く聞かれました。
仮装とマスクのバランス
10月30日の渋谷ハロウィンには多くの人出が見られましたが、実際のコスプレや仮装のピークは10月31日でした。
この日、多種多様な仮装やコスプレをした人々が渋谷の街を彩りました。
それにもかかわらず、全体として仮装をしている人は約2割程度にとどまっており、意外にもその中でも報道陣が特に目立つ存在でした。
特筆すべきは、マスクの取り扱いに関する違いでした。外国からの訪問者の多くは、仮装を楽しむ一環としてマスクなしでの参加が目立ちました。
一方、日本人の参加者は、仮装にマスクを組み合わせる形が多く見られました。
これは、コロナウイルス感染予防への意識の高さが示される一例と言えるでしょう。渋谷ハロウィンの中で、日常の生活と特別なイベントの間でのバランスをとる努力が垣間見えた瞬間でした。
また、ハチ公前では反ワクチンを団体が自の音楽を流し踊りながら、ワクチン接種の危険性を訴えていました。
問題点と地域の反応
渋谷ハロウィンは国内外からの参加者により盛り上がりを見せる一方、その裏側で多くの問題が浮上していました。
- ゴミ問題:街の随所に散乱するゴミが目立ちました。特にトイレ内での捨てられたコスチュームやアクセサリーは、清掃作業を困難にしていました。
- 公共の場でのマナー違反:ビルの間や路地裏での公然の用足し、サンプルケースの破壊など、公共の場でのマナー違反が目立ちました。
- 路上飲酒と若者の行動:道玄坂エリアでは、多くの若者が路上に座り込んでの飲酒を行い、それをきっかけにナンパ行為も頻発していました。
- トラブルと救急対応:特に深夜には、男女間のトラブルが増え、その一例として、女性が飲食店の階段から転落し、救急対応が必要となる事態も発生しました。
警備とトラブルの狭間
このように様々なトラブルが生じる中で、特に目立ったのは、振興組合の小野寿幸理事長の前で、わざと、禁じられている路上喫煙を無視してタバコを吸いだした若者たちの姿でした。
彼らの挑発的な態度に、小野理事長は即座に注意するも、若者は挑発を繰り返し無視し続けました。
残念ながらこのような、一部の人々の低いマナーやモラルによるトラブルは、今では渋谷ハロウィンの日常となってしまいました。
渋谷区は、このようなトラブル対策のために、今年もハロウィンの安全確保に多額の予算を組み、警備の徹底を図っていました。警備員たちは一層の緊張感を持ち、トラブルを未然に防ぐために動いていました。無作状なナンパ行為や、歩行者の流れを妨げるような立ち止まりを繰り返す若者たちに、拡声器を使用して休む間もなく注意を続けました。
加えて、飲食店が密集するエリアでは、警備員が高い足場から人々の様子を監視しており、アナウンスを連続して流していた。
大音量を音楽を流す車の近くでは、警察が積極的に注意を行っていたが、一部のドライバーの中には、警察の権限を無視し、強気な態度で対抗し我が物顔で振る舞う人もいました。
アルコール販売のジレンマと泥酔する若者たち
路上飲酒の自粛要請がなされる中で、緊急事態宣言の中で厳しい経済状況に直面している店舗が酒類の販売を続けるケースも見受けられました。
ある店舗では、路上でなくビルの敷地内のエントランス部分だから販売は問題なという理由から、アルコール類の販売を行なっており、その店の周りでは、多くの泥酔した若者の姿が多く目撃されました。
「ハロウィン後の渋谷」ゴミ問題と地域の怒り
翌朝、またもや渋谷のセンター街は前夜のハロウィンの痕跡で埋め尽くされていました。多くの若者たちが楽しい一夜を過ごした後の光景は、まるで巨大なゴミ捨て場のようでした。
通路や道路沿いには、酒の空き瓶や空き缶が転がっていました。
また、夜通し飲み明かした人々がエネルギー補給のために飲んだと思われるエナジードリンクの空き缶や、食事として摂取したカップラーメンの容器、コンビニで購入したホットスナックの袋、脱ぎ捨てられた仮装用の衣装などが目立っていました。
しかし、明け方までには、清掃業者やボランティアの手によって、道路はきれいに掃除され、ハロウィンの雰囲気は消え去っていました。
再び繰り返されたこの惨状にに、渋谷区の商店街や地域住民からは、「もう渋谷には来ないでくれ」と強い怒りの声が上がりました。
選挙とハロウィンが重なる中、渋谷の夜は一部で混沌
渋谷がハロウィンで賑わうのは例年のことですが、今年はさらなる特別な事情がありました。
2022年10月31日は衆議院議員選挙の投票日と重っており、新型コロナウイルスの影響と政治への関心が交錯しました。
約3ヶ月前の2022年7月8日に、安倍晋三元首相が凶弾に倒れたことで、今回の選挙は「弔い選挙」とも言える前例のない選挙戦が展開され、日本中が注目していました。
注目の選挙結果と日本の未来に無関心の若者の姿
多くの国民は岸田内閣の下、新たな幹事長に就任した自民党の甘利明が敗北するなど、大型の予測を覆すような開票結果に驚き、この国の未来について期待と不安を募らせていました。
渋谷の街中でも、手錠をかけ囚人の格好をした40代の男性が「投票済ませてハロウィーン行こう」というメッセージで、投票の大切さをPRする姿がありました。
一方、一部の若者たちは、「選挙は知らない」「選挙は行ってない」「選挙なんか行くつもりがない」などと言いながら、路上で飲酒をしていました。
この状況を見た小野寿幸理事長は、若者は渋谷で騒ぐよりも選挙に参加し、家でホームパーティーを楽しみながら、国の将来について考えて欲しいと語りました。
京王線「ジョーカー事件」の影響で仮装を制限
また、この日は午後8時ごろに東京都調布市を走行中の京王線特急電車内で、禍々しい事件が発生しました。
映画「バットマン」シリーズの悪役、ジョーカーに仮装した犯人が、電車内で乗客1人を刺し、さらに車両に火をつけたのです。
この事件が社会に与えたショックは計り知れず、ハロウィン本番の仮装に対する警戒が一層強まりました。
特に公共の場所や商業施設では、仮装をした人々の出入りに対する制限や注意喚起が強化される事態となりました。
具体的な対策
具体的な影響として以下のような対策がとられました。
- 駅や公共交通機関の利用制限:一部の駅や交通機関では、仮装をしている人々の利用を制限する動きが見られました。特に大手都市鉄道などでは、安全を確保するための対応としてアナウンスやスタッフによる注意喚起が行われました。
- 商業施設の入店制限:ショッピングモールや大型商業施設でも、仮装をした来客に対する入店制限や特定エリアへの立ち入りを禁止する措置が取られました。
- 地域・自治体の取り組み:一部の自治体では、子供たちの安全を守るため、ハロウィンイベントの中止や規模の縮小が行われました。また、地域住民向けの情報提供や安全対策の徹底を求めるアピールも行われました。
このような対応は、渋谷ハロウィンでも同じように実施され、ハロウィンを楽しむ多くの参加者や観光客にとっては残念な結果となりました。
自粛要請のないハロウィンが再び混沌を呼ぶ(2022年)
2022年10月20日、長谷部渋谷区長は今年の渋谷ハロウィンの対策について説明を行う記者会見を渋谷区役所で開催しました。
これは3年ぶりの自粛要請のないハロウィンに向けたもので、特に過去の混雑やトラブルを鑑みた対策が発表されました。
区長は、「この期間はとても難しい。遊びに来るなとは言いたくない。ルールを守って楽しんでもらいたい。そのためにも協力をお願いしたい。」と述べ、ハロウィン期間中の渋谷への集結を推奨しないとの立場を明確にしました。
今年のキャンペーンテーマとして「ルールを守る人は、渋谷を守る人」というスローガンが掲げられました。
これは安全なハロウィンを呼びかけるもので、東京コピーライターズクラブ(TCC)の協力を得て、多くの商店街や通りに感情に訴えかけるコピーライトが添えられたフラッグや看板が設置されました。
また、10月28日から4日間の期間において、午後6時から翌日の午前5時まで、渋谷駅周辺エリアの道路や公園等での路上飲酒を制限するという方針も明らかにされました。
さらに、新型コロナウイルスの影響を受けた外国からの観光客が増加することを見越し、路上飲酒の制限に関する情報を英語で伝えるためのポスターが駅に掲載されることも発表されました。
キャッチコピーとセンター街の期待
2022年、渋谷区はハロウィンのルールとモラル向上を目的にキャッチコピーを募集しました。その結果、以下のようなメッセージが選ばれました。
- 「自由とモラルはセットだろ?」
- 「ルールを守る人は、渋谷を守る人。」
- 「今宵、ハチ公を泣かすな。」
これらのキャッチコピーは、渋谷の街中、特に駅前や商店街などに大々的に掲げられ、ハロウィン期間中のモラルとルールの遵守を強く訴えています。
渋谷センター街もこの呼びかけに協力しています。渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長は、今年のハロウィンについての不安を次のように語っています。
「コロナ禍で少しは渋谷の街も落ち着いていましたが、今年は戦々恐々としています。ハロウィーンというイベントが悪いイメージとして定着すると、家族連れや一般のお客さんが近づかなくなるリスクがある。我々としても、みんなには渋谷のハロウィーンを楽しみながらもモラルを守ってもらいたい」
ソウルと渋谷、繁華街のハロウィンと安全の課題
10月29日、コロナ禍が一段落し、自粛要請なしで迎えたハロウィン期間の渋谷は仮装の人々や観光客で賑わっていました。
警視庁はセンター街やスクランブル交差点周辺の警備を強化し、機動隊や「DJポリス」の配置されていました。
同じ頃、隣国韓国で起きた事故が日本中に衝撃を与えました。
事故の状況
ハロウィン本番の2日間の10月29日、ソウル市の梨泰院(イテウォン)ハロウィンイベント中に150人以上が圧死するという、韓国建国以来の最悪の事故が発生。
さらに日本政府の情報によると、この事故に巻き込まれた犠牲者の中には日本人2人も含まれていました。
事故の現場は、幅わずか4メートルの坂道であり、仮装をした多くの若者がこの狭い場所に集まっていました。
当時現場にいた人々は、「身動きが取れないほどの人混み」「ろっ骨や内臓を圧迫されるほどの力があった」と証言しています。
渋谷の反応
この事故を受けて、日本でも激しい混雑が予想される渋谷のハロウィンに対する懸念が強まりました。
実際、渋谷にも「スペイン坂」のような狭い通りや坂道が点在しており、同じ事故が起きる可能性が高く、不安を感じる声が多く聞かれました。
韓国ソウルの繁華街での悲惨な事故を受けて、渋谷区の長谷部区長は10月31日、渋谷でのハロウィンイベントに関して公式にコメントを発表しました。
長谷部区長のコメントと対策
区長は「韓国での事故に心からお悔やみ申し上げる」とコメントし、渋谷での同様の事故を危惧していることを明らかにしました。
また、韓国の事故を受け、渋谷でのハロウィンの参加者には、ルールを守ることを強く求め、「街を訪れること自体を控えることも検討していただきたい」との呼びかけも行いました。
さらに、「ただ仮装を見に来るだけの目的での来街はお控えください」とのメッセージも伝えられました。
- 渋谷区の対応策
- 警察との連携を強化し、31日の午後6時から翌日午前5時まで渋谷駅周辺での路上飲酒を制限。
- 区の職員がパトロールを実施。
- 民間の警備会社に警察との協力を依頼し、人の誘導やマイクを使った呼びかけを実施。
- 情報発信
- 10月31日の午後4時ごろから、タイトル「ハロウィーン当日を迎えて」としてのメッセージを区の公式WebサイトやSNSで情報を発信しました。
- 渋谷区は2017年にヤフーと「災害に係る情報発信等に関する協定」を集結しており、スマートフォンアプリ「Yahoo!防災速報」を活用して、安全対策に関する情報を発信しました。
ハロウィンの大混雑に危機感!
小野寿幸理事長は、今年の人出についての以下のように危機感を明らかにしました。
「先日の人出を見ると、予想をはるかに上回る混雑ぶりで、非常に危機感を抱いています。
渋谷には、事故が発生した韓国・イテウォンのような、非常に幅の狭い道路が多数存在しています。
特にコロナウイルスの影響前は、渋谷駅周辺は日常的に大変混雑しており、そのような状況を思い返せば、事故が渋谷で発生する可能性も決して低くはないと感じています」
さらに、ハロウィンの混雑について、小野理事長は「渋谷区や警察は対策を講じていますが、ハロウィンの集まりは特定の団体が主催するイベントではなく、多くの人々が自然発生的に集まるもの。
これに対して、商店街としても手を打つことが難しく、非常に悩んでいます。このような状況を受けて、国や東京都も対策を強化してくれることを切望しています」との意見を示しました。
厳重な警戒体制での取り組み
多くの参加者が予想される中、特に混雑するセンター街では、警察官を始めとした数百人規模の機動隊員が動員されました。
彼らの主な任務は、歩行者が1か所に過度に集中し、移動が困難になることを防ぐため、センター街を避けるルートへの誘導でした。
また、写真撮影のために道路上で立ち止まる行為が後続の歩行者の流れを妨げ、転倒事故などのリスクを高めるとの考えから、警察官たちは細い路地を含めて頻繁に巡回。
参加者や観光客に対して立ち止まらないよう呼びかける活動をより積極的に行いました。
ハロウィンにおける厳戒態勢と地元の懸念
ハロウィン当日、東京・渋谷の繁華街は、仮装した人々で賑わい、混雑の中、肩と肩が触れ合うほどの人出が確認されました。
渋谷区では、このような混雑の中でもマナーやルールを守るよう呼びかけるため、約30人の職員が街をパトロールしました。
渋谷区には、ハロウィン期間中、駅周辺での路上飲酒を制限する条例が存在しており、条例違反をしている人に対して注意喚起が行われました。
渋谷区は、翌日の午前5時までこのパトロール活動を継続する方針を示していました。
渋谷区土木部企画管理課の中村彰男課長は、「集団での飲酒は、時として人々の行動を大胆にさせることがある。
しかし、渋谷区が設けた飲酒制限のルールを理解し、適切な行動をとるようお願いしたい」との意向を表明しました。
一方、梨泰院の事故を受けて、渋谷の地元住民や店舗からも不安や懸念の声が挙がっていました。
混雑の最盛期を迎えた頃、スクランブル交差点では歩道に収まりきらない人々が、車道にはみ出始めました。この事態を受けて、警視庁は黄色いテープを交差点に張り、ハチ公前広場への通行を一時的に制限しました。
平穏な一夜とその背景
2022年11月1日、東京・渋谷の街が静けさを取り戻し、ハロウィンの喧騒が一段落しました。
10月31日のハロウィン当日は、無許可でドローン飛行など、いくつかの小さなトラブルはあったものの、全体としては大きな事故やトラブルは発生せず、逮捕者も出ませんでした。
実際、渋谷区や警視庁は自体が悪化した場合に対してさらなる計画を立てており、歩道があふれるほどの混雑が発生した場合、車道を開放する予定でした。
しかし、当日の人出はそのような措置を必要とするほどのものではなく、警視庁の幹部からは「事故もなく、無事に終えられたことは大変良かった」との声も上がるほどでした。
これは、ソウル・梨泰院(イテウォン)で10月29日に発生した雑踏事故の影響が、渋谷ハロウィンの人出に影響を与えた可能性が指摘されています。
この事故によって、ハロウィンの参加者たちの安全意識が一層高まり、過度な混雑を避ける動きが強まったと考えられます。
ゴミ問題
一方で、相変わらず大量のゴミが散乱していました。今年も、多くのボランティアや地域の若者たちが手を取り合い、街の清掃活動に取り組みました。
ボランティア活動を主導する「ハロウィンごみゼロ大作戦in渋谷 実行委員会」によると、多くの酒類のゴミが見つかっており、マナー違反が続けられていることに懸念を示しました。
仮装よりも普段着の若者が目立つ
2022年の渋谷ハロウィンは、本格的に全身を仮装をしている人々よりも、耳や仮面などをつけたワンポイントだけ仮装や、普段着の人々が目立つ年となりました。
- 全身仮装:約50%
- 簡単な仮装:約40%
- 普段着の訪問者:約10%
具体的には大勢の人々の中で、本格的に仮装している人は60~80人に1人の割合程度でした。
また、渋谷スクランブル交差点の人出は前年の2021年と比べ73%増加、特に30代以下の若者の人出が33%増加していました。
これはハロウィンが持つ文化や、特定の世代の間での人気を示しているといえます。
また、男女の比率は半々程度で、性別による大きな偏りはありませんでした。
ハロウィン市場、2022年にはバレンタインを上回る売上を記録
ハロウィンの商業的な成功は、毎年多くの企業や小売業者にとって大きな関心事となっている。
日本記念日協会の公表したデータによると、ハロウィンの市場規模は近年変動しており、一時は縮小の傾向が続いていました。
市場規模の変遷:
- 2016年: 1345億円
- 2017年: 1305億円
- 2018年: 1240億円
- 2019年: 1,155億円
- 2020年: 測定不能(新型コロナの影響)
- 2021年: 測定不能(新型コロナの影響)
- 2022年: 約1345億円
新型コロナウイルスの影響で、2020年と2021年の市場規模は測定が困難とされていました。
しかし、2022年の測定では前年比で約10%増の1,345億円の売上が記録この結果、ハロウィンの市場規模はバレンタインデーの約1,340億円を上回り、渋谷ハロウィンなどのイベントの盛り上がりも過去のピークに迫る勢いを見せてます。
一時は終焉と見られていた、ハロウィン再ブームや新たな消費トレンドの出現など、多様な要因がこの成果をもたらしたとされる。
今後の市場規模の動向やハロウィンを取り巻く環境の変化が、今後の商業的な成功にどのように影響するのか、引き続き注目されています。