《渋谷ハロウィンの歴史②》犯罪、暴動、パンデミック。渋谷区の挑戦と対策

渋谷ハロウィン参加者の一部の低いマナーやモラルは、やがて暴動と呼ばれる事態にまで発展。さらに、世界を席巻したパンデミックの影響が大きな影を落としました。

このような状況の中、渋谷区はその対策に奮闘することになりました。今回は、渋谷ハロウィンの転換点となった2018年を振り返ってみたいと思います。

《渋谷ハロウィンの歴史①》東京で最もエキサイティングなイベントの始まり
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2018年10月28日未明、ハロウィンでにぎわう東京・渋谷のセンター街で軽トラックが横転させられ4名の逮捕者が出た。酔っぱらいの喧騒や路上のごみ問題など、負のイメージで取り沙汰される渋谷ハロウィン。一方で、20年以上の歴史を誇り地域に根付いたカワサキハロウィンや、クールジャパンのひとつともいえるコスプレ文化と結びついた池袋ハロウィン、毎年ツイッターのトレンドを独占する地味ハロウィンといったイベントは、文化的にも経済的にもおおいに注目に値する。本書は、いつの間にか日本の年中行事となったハロウィンの現在・過去・未来を、現地レポートや関係者インタビューを通して読み解いていく。(「BOOK」データベースより)

Shibuya Halloween

カオスへの挑戦「渋谷ハロウィンの舞台裏」

朝日新聞デジタル/YouTube

渋谷ハロウィンの歴史を振り返ると、その起源は意外と新しく、2000年代初頭にはほとんど存在感がありませんでした。

しかし、SNSの普及とともに、10年以上の時間をかけて徐々に拡大し、2010年代には爆発的な人気を迎えました。

初期の頃、渋谷ハロウィンは若者を中心に自由に仮装して楽しむ小規模なイベントでした。

ストリートでの仮装や写真撮影が主な活動で、ハロウィンの夜、数百人の若者たちが渋谷の交差点や路地裏で集まり、友人同士や知らない人たちと交流を楽しんでいました。

しかし、年々その規模が拡大。SNSや動画投稿サイトに投稿される動画や写真が拡散されることで、渋谷でのハロウィン仮装が「見せる」もの、そして「体験する」ものとして人気を集めました。

特にInstagramやTwitterの普及に伴い、仮装のクオリティや独自性が求められるようになり、個々のクリエイティビティが発揮される場となりました。

一方で、その人気の裏には問題も潜んでおり、ゴミの問題や迷惑行為、未成年の飲酒など、さまざまなトラブルが発生しました。

特に2018年渋谷ハロウィンは“暴動”と呼ばれる事件も発生しました。

平成最後の渋谷ハロウィンと騒乱(2018年)

2018年、平成最後の渋谷ハロウィンは、年々増加してきた問題がピークに達し、悪い意味で特別なハロウィンになりました。

渋谷区のハロウィンへの取り組み

ハロウィンが渋谷での大きなイベントとして定着するにつれ、その規模とともに増加するトラブルも無視できない事態となっていました。

例年のトラブルを鑑み、渋谷区は早めの対策として、ハロウィン期間前の10月23日にマナーやモラルの向上を呼びかける会見を行いました。

この会見で長谷部区長は、「ハロウィンで渋谷に人が集まるようになってから約4年が経った。集まりすぎて危険になっている」と指摘。

一方で、楽しみ方については「楽しく遊ぶのはいいが、それはクラブや店など許される場所でするように」と述べ、外での大騒ぎを避けるよう訴えました。

また、区民や訪問者たちに対して「ハロウィンの自粛」も呼びかけました。

また、渋谷区はSNSを活用して、終電までには帰宅し、深夜の騒ぎを避けるよう呼びかけました。

さらに、夜通しの遊びを避け、深夜は飲食店やクラブに移動すること、そして何よりモラルとマナーを守って楽しむことの重要性を、公式アカウントで繰り返し訴えました。

ハロウィン時の瓶入り酒類販売自粛

渋谷区では、ハロウィンの日に渋谷駅周辺のコンビニや小売店に対し、瓶に入った酒類の販売自粛を初めて呼びかけました。

この措置は、瓶を割る人がいたり、ゴミ拾いの際に危険があるという声が上がったことによるものでした。

具体的には、渋谷駅周辺のコンビニや小売店に対し、10月31日午後6時から11月1日午前6時まで瓶に入った酒類の販売を自粛するよう呼びかけを行いました。

MEGAドン・キホーテ渋谷本店では、この要請を受け、ビール、ワイン、日本酒など数十種類の酒類の販売を自粛しました。

同様に、コンビニ各社も周辺店舗での酒類の販売を自粛しました。

渋谷区の担当者は、「ハロウィンの集まりへの規制は難しい。今回の販売自粛要請は苦肉の策であり、なるべく規制は避けたい」との立場を明らかにしました。

また、参加者一人一人がモラルやマナーを意識し、楽しみつつもルールを守ることが求められています。

渋谷区の担当者はこの販売自粛について、「ハロウィンの集まりの規制は容易ではなく、今回の措置は苦肉の策である」との見解を示しています。

その上で、「なるべく規制は避けたい」という立場を明確にし、参加者自身のモラルやマナーの意識を訴えました。

「渋谷ハロウィン暴動」カオスと犯罪の影

ハロウィンの夜、渋谷は通常の週末をはるかに超える人々で溢れ返っていました。

仮装の楽しみや友人との集まりは多くの人々を惹きつける要因の一つでしたが、その中で一部の人々は行動の節度を欠いていました。

東急ハンズ周辺では一種の無法地帯と化しており、ラーメン屋の券売機に水を入れる行為やエンジンの空吹かし、爆音で音楽を流したり、楽しむための範疇を超えた迷惑行為が目立っていました。

このようなカオスの状況の中で、27日深夜から28日未明にかけて、渋谷駅周辺では暴行容疑で3人、都迷惑防止条例違反の盗撮や痴漢の疑いで計5人が逮捕されました。

これはハロウィンの夜に発生した多数の犯罪行為の一部に過ぎませんでした。

「軽トラック横転事件」

10月28日午前1時過ぎ、路上に停められていた軽トラックをハロウィン参加者が取り囲み、最終的には横転させられてしまったのです。

この一部始終は、多くの人々によって目撃されており、直後に警察も出動しました。

この事件では、まず数人が軽トラックを囲み、その上に乗り始めました。

荷台がお立ち台のようになり、人々は飛んだり跳ねたりしていました。初めは運転手もこの状況に我慢していましたが、次第に人数が増えはじめ、車両全体が人で埋まっていきました

集まった人々は、軽トラを横から大きく揺らし始めます。

その動きはどんどん激しくなり、最終的にはトラックはなんと横転させられてしまったのです。横転したトラックを見て人々は狂喜乱舞しました。

さらに、その後横転したトラックの上に乗る人の姿もありました。

この事件を受け、すぐに警察官が現場に駆けつけ、群衆を制止。人だかりをかき分けて軽トラをセンター街から誘導しました。

後日、この事件を受け、暴力行為法違反(集団的器物損壊)の疑いで、4人が逮捕され10人が書類送検されました。

この事件の特定には、街中に設置されていた防犯カメラや、現場にいた目撃者のスマートフォンによる画像が大きな手がかりとなりました。

警察は、関与した取れる外国人や学生ら計15人特定していましたが、車体に乗ってドアを壊すなど、極めて悪質な行為をおこなった4人を逮捕したと発表しました。

渋谷区長が異例の声明を発表

10月29日、渋谷区の長谷部健区長が、ハロウィンに関連した痴漢、盗撮、暴行といった事件に対して強い憤りを示す異例の声明を発表しました。

「10月31日のハロウィンに向けたお願い」

一昨日から本日にかけまして、ハロウィーンに関連した渋谷駅周辺の騒動について多くの報道がなされております。

複数の逮捕者が出たり被害届が出されるなど犯罪行為も明らかになっており、大変憤りを感じております。渋谷区としましても、警察との連携を改めて強く進めてまいります。

また、犯罪に至らなくとも、ルール、マナー違反をしている人たちの様子も多く報道されております。そのような人たちは、渋谷を愛し、この街を誇れるものにしていく思いのない人たちです。

ハロウィーンにおいて、周囲に迷惑をかけることなく、健全に楽しんでいる方たちはきちんといらっしゃいます。また、日頃から真に渋谷の街を愛し、この街を誇れるようにする努力をしている方たちもたくさんいらっしゃいます。

そういった方たちの努力や思いを踏みにじる一連の行為は、到底許せるものではありません。

街の安心・安全と賑わいの両立は、地方公共団体のトップとして大事な責務です。誠に残念ながら一朝一夕にこの問題を解決できる特効薬はありませんが、解決に向けて強い意志を持って取り組んでまいります。

そして、重ねてのお願いになりますが、10月31日のハロウィーンにおきましては、決して周囲に迷惑をかけることなく、モラルやマナー、法令を守り、健全にお楽しみいただくよう、よろしくお願いいたします。

渋谷区長 長谷部 健

渋谷区公式サイト 
さらなる事件が発生…。

渋谷区長の呼びかけも虚しく、マナーやモラルが守られることはなく、ハロウィン後の渋谷センター街周辺には大量のごみが散乱し、また多数の逮捕者が出る事態となりました。

10月31日、渋谷駅前のハチ公前広場やスクランブル交差点付近では、窃盗未遂や痴漢の疑いで複数人が逮捕されました。さらに、センター街のゲームセンターでは暴行容疑で逮捕されています。

前年のハロウィンと比較すると、逮捕者数が増加しており、今年は10月27日から11月1日までの間に計19人が逮捕されました。

加えて、前述した軽トラ横転事件に関連して逮捕された4名を合わせると、合計23名が逮捕されるというこれまでで最多の逮捕者を出してしまいました。

火災も発生!

10月31日、渋谷ハロウィン本番の混乱の中でなんと火災も発生しました。消防車20台が急行し一時現場は騒然となりましたが、幸いにも火災は無事消化され、大きな被害もでませんでした。

ハロウィンの盛り上がりの中、放火の疑いが浮上していましたが、調査した結果、単なる事故であったと見られています。

Kazuki Ueno/YouTube
「渋谷ハロウィン暴動」

このように、例年の渋谷ハロウィンと比べても常軌を逸した混乱具合から、「渋谷ハロウィン暴動」として呼ばれるようになりました。

ゴミ問題と早朝清掃活動

2018年には、渋谷区が7.8トンものゴミを収集しました。これに対応するため、実行委員会は毎年、早朝からボランティアを募り、清掃活動を行っています。

必要な道具は実行委員会が提供し、多くの団体やボランティアが参加し、渋谷をきれいにしています。

  • 地域の協力:渋谷駅近くの商店街の店主たちもこの問題を真剣に取り組んでいます。店主たちのグループ「渋谷地区美化推進委員会」を通じて、多くの店が自らの店舗前だけでなく、その周辺も清掃しています。さらに、ハロウィンの参加者自身もゴミの掃除を手伝う姿が増えてきているとのこと。
  • 再利用の取り組み:再利用を推進する新しい取り組みとして、実行委員会は「リユースボックス」を導入。エコステーションに設置されたこのボックスは、使われなくなったハロウィングッズの再利用を目的としており、収集されたグッズはフリマアプリ「ラクマ」で販売され、売り上げは渋谷の美化活動のために使用されます。
渋谷ハロウィンの負の遺産

今年も清掃ボランティアの努力のおかげで、渋谷の街はすぐにゴミが片付けられました。

しかし、その一方では、多くの人々が綺麗にしようとの取り組みをしているのに、路上喫煙やゴミのポイ捨てをする心ない人の姿もありました。

また、泥酔している人もり、渋谷ハロウィンの負の部分は拭い去ることはできませんでした。

ANNnewsCH/YouTube
商店街の悲鳴と「変態仮装行列」への非難

このような現状に対し、今年も地元の商店主からは怒りの声が挙がりました。

  • 売り上げの激減と不満:渋谷の商店街では、ハロウィンの期間中、人が多く集まる一方で、売り上げは逆に激減しているのが現状です。渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長は、「ハロウィンに関しては(売り上げ増は)ないですよ。3分の1のダウンですから」と述べ、人出の増加が売り上げ向上に繋がっていない事実を明らかにしました。
  • 「変態仮装行列」への非難:小野理事長はさらに、怒りを込めて「私たちはハロウィンではなく、変態仮装行列でもう困っている。もっとマナーを守った楽しみ方があるはず」とコメント。ハロウィンでの大暴れやマナー違反を厳しく非難し、社会的なマナーの向上を求めました。
ネットの反応

この「変態仮装行列」という表現に、インターネット上でも賛同の声が多く寄せられました。

「これから積極的に使っていきたい」というコメントが相次ぎ、多くの人々が小野理事長の意見に共感を示しています。

渋谷ハロウィンのマナー悪化とネット上の反応

今年の渋谷のハロウィンは、人出は減っているものの、マナーの悪化が指摘されました。

渋谷区の広報担当者が現場を見て回った結果、「人出は減っているが、マナーが悪化していると感じた」との声を寄せました。

ネット上の反応

この状況に対して、TwitterなどのSNS上では、「ルールや規律乱す人は、ハロウィンする資格ないと思う」「迷惑行為が多いなら中止も検討すべき」といった厳しい意見が相次いでいます。

多くの人々がマナーの悪化に対して非難の声を上げ、イベント自体の中止も求める声があがっているのです。

BREAKIFY/YouTube

厳重な対策が取られた中で続く渋谷のハロウィン文化(2019年)

前年の事件をきっかけとして、ハロウィンの渋谷でのイベントは「祭り」から「暴動」へとイメージが急変。渋谷区はこの事態を重く受け止め、対策を検討することになりました

渋ハロ対策「ハロウィン路上飲酒規制条例」

2019年6月19日に渋谷区議会で「ハロウィン路上飲酒規制条例(渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例)」が可決。

この条例は、渋谷駅周辺地域の安全及び安心な環境の確保を目的としており、6月20日より施行されました。

渋谷区議会 ファン/YouTube

条例の内容

  • ハロウィンの本番期間やその前週、年越しのカウントダウン期間中に渋谷駅周辺での路上飲酒が禁止。
  • 音響機器による騒音や放尿、公共物件に無断で上るなどの迷惑行為も禁止。
  • しかし、罰則規定は設けられていない。

地域住民としてのコメント

鈴木けんぽう議員は、この条例の可決について自身のブログで歓迎の意を示し、「地域住民としては非常に嬉しい、待望のもの」とコメントしています。

渋谷区長のコメント

渋谷区の長谷部健区長は、渋谷の多様性や寛容さを重視する一方で、ハロウィンやカウントダウン期間に発生する問題行為に対して強い懸念を示しています。

条例が必要となった背景には、一部の迷惑行為や犯罪行為があるとし、これに対応するための区の責務として条例を施行したことを明らかにしています。

TOKYO MX/YouTube
渋ハロ対策「区の対策と警備体制の強化」

ハロウィン期間中の渋谷は、日本国内外から多くの人々が訪れることで知られています。そのため、近年の問題行為の増加を受けて、渋谷区はより一層の対策を講じる必要が生じました。

中間本会議の決定

9月25日に行われた渋谷区議会の中間本会議で、ハロウィン期間中の警備等に関する予算が討議されました。その結果、約1億300万円の予算がハロウィンの安全対策として可決・成立しました。

具体的な対策

この予算は以下のような項目に使われることが決定されました。

  1. ハロウィンの警備:近年の混雑やトラブルを考慮し、警備の強化を図る。
  2. 仮設トイレ:数十基の仮設トイレを設置。これは、過去の放尿トラブルを防ぐためのものです。
  3. マナー啓発:10月中旬から渋谷の街中にマナー啓発のためのフラッグやポスターを掲出。訪問者にルールやマナーの意識を高めることを目的としています。
  4. 100人規模の警備体制:問題行為やトラブルを未然に防ぐため、充実した警備体制を整える。

このような様々な対策を踏まえ、渋谷区はハロウィン当日に備えました。

ANNnewsCH/YouTube
渋谷ハロウィンの飲酒禁止と各店舗の対応

10月18日、渋谷区はハロウィン期間中、公共の場所での飲酒を制限し、その安全確保を目的とした要請を発表しました。

具体的な期間は、10月26日の夜から27日深夜、および10月31日の夜から11月1日早朝まで、渋谷駅周辺の一部地域での飲酒が対象となっています。

この要請を受けて、多くの商店やコンビニが協力の姿勢を示しました。

  • ドン・キホーテ渋谷本店:指定期間中、酒類の販売を全面的に自粛するとの発表。店内での告知や酒類売場の閉鎖も行う。これは、ドン・キホーテとしては初めての取り組みです。
  • コンビニエンスストア
    • セブンイレブン:8店舗で酒類販売の自粛を検討中。
    • ファミリーマート:8店舗が酒類販売の自粛をオーナーの判断で行う方針。
    • ローソン:4店舗が酒類販売の自粛を検討中。
    • ミニストップ:1店舗が酒類販売の自粛を検討中。
  • 東急百貨店:東横店と渋谷本店では、指定日時に酒類販売の自粛を告知する看板を掲示する予定。
渋谷ハロウィンでの未成年飲酒リスクと店舗の決

ハロウィン本番の日、エリア内のコンビニではアルコール飲料のコーナーにカーテンがかかっており、「販売自粛中」という注意書きが見受けられました。

渋谷は東京都内でも特に家賃が高額なエリアの一つであり、小規模店舗にとってはその固定経費が大きな負担となっています。

ハロウィンは多くの来訪者が集まる期間であり、一年の中でも商機となる大切なタイミングです。

この時期にアルコールの販売を自粛することは、収入の大きな機会損失となり、経済的な打撃を受けることになります。

特に中小規模の小売店や、コンビニのフランチャイズ店などは、この期間の売り上げが年間の利益に大きく影響する可能性がありました。

しかし、そのようなビジネスチャンスを前にしても、店舗がアルコールの販売自粛を決断した背景には、未成年者の飲酒問題という重大なリスクが潜んでいました。

渋谷ハロウィンの混雑の中、仮装をした客の中から未成年を見分けるのは、現実的ではありませんでした。

未成年者飲酒禁止法では、未成年者がアルコールを飲用した場合、その原因となる酒の販売を行った店舗やその従業員が法的な責任を問われることとなります。

この法的リスクを考慮すると、販売自粛の決定は避けられないものとなったのです。

とはいえ、ハロウィンを楽しむ中でお酒も一緒に楽しみたいと思う人は少なくありませんでした。

条例で定められた飲酒禁止エリアは歩いて10分程度の範囲で、罰則規定も設けられていないため、近隣の店で酒を購入し、エリア内に戻ってきて飲酒をしている人もいました。

また、路上飲酒こそ禁じられていたものの、飲食店やバーでの提供は変わらず続いており、多くの人々がその場を訪れていました。

また、経済的な理由からアルコール類の販売自粛に応じない店舗もありました。

警察の対応と逮捕事例

渋谷ハロウィンにおける混乱や違反行為を制御するための警察の出動や警備は、毎年大きな注目を浴びるものです。

2019年のハロウィンでは、警察の取り締まりが強化されていたものの、一部の参加者からはルール違反や違法行為が見られました。

  • 警備の規模:警察官の発言によれば、出動している警察官の数は「去年とほとんど変わらない」とのこと。これは、前年の取り締まりを基に、同じ規模での警備が継続されていることを示唆しています。
  • 逮捕事例:犯罪の発生は避けられなかったようで、窃盗未遂や痴漢、暴行など、さまざまな違法行為が報告されています。合計で9人が逮捕されるなど、一部の参加者によるトラブルがあったことが伺えます。
  • 区職員の活動への反発:渋谷区職員は、条例違反を防ぐための巡回活動を行っており、路上飲酒や路上喫煙の違反者に対して注意を行っていました。しかし、一部の違反者は、職員の注意を受けた直後に再び違反行為を行うなど、繰り返しルールを破る様子が見られました。
例年より治安がよくなった渋谷ハロウィン

今年の渋谷ハロウィンでは、路上禁酒の影響か飲酒者をほとんど目にすることはなく、過去よりもゴミの散乱が少なかったことが注目されました。

この取り組みに対して、参加者からは「安全感が増して良い」といったポジティブなフィードバックもあれば、「飲食店での飲酒は可能だから変わらない」との意見も聞かれました。

また、一部の逮捕者を出す事態となりましたが、前年のような大きな混乱やトラブルはありませんでした。

しかし、「ここまで大規模な取り組みが必要なイベントは必要なのか?」という疑問や批判も一部からネット上で寄せられていました。

TV emiko/YouTube

パンデミックの影響で静かな渋谷(2020年)

2020年の渋谷ハロウィンは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響下での開催となりました。

2020年5月に非常事態宣言が発令、外出自体が自粛ムードの中で感染の拡大を防ぐため、長谷部区長は参加者や観光客に対し、今年は渋谷への来訪を自粛するよう強く呼びかけました。

また、「密集・密接・密閉」の「3密」を避けるための取り組みとして、オンライン上でのイベントの参加を提案しました。

長谷部区長は、「実際に渋谷に来なくても、オンラインで渋谷の雰囲気を楽しむことができるよう様々な取り組みを行ってきました。路上での飲酒や夜を徹しての騒動など、不適切な行為は控えて、安全にハロウィンを楽しんでほしい」とのメッセージを送りました。

コロナ渦での対策

渋谷区は新型コロナウイルスの影響を受けて、ハロウィンの際の取り組みを大きく変更しました。過去のような大勢の人々が集まることを避けるため、多くの対策や制約が導入されました。

  1. 仮設トイレや着替えスペースの設置中止:これまでハロウィンの期間中に設置されていた仮設トイレや着替えスペースは、今年は設置されないことが決定されました。
  2. 「HOME HALLOWEEN」や「外出自粛」の呼びかけ:渋谷駅周辺などの主要な場所には、自宅でハロウィンを楽しむようにというメッセージが看板や旗で掲示されます。
  3. 警備強化:渋谷区は約1億円を投じて、ハロウィン期間中の警備を強化します。
  4. 酒の販売自粛の呼びかけ:渋谷区内の42店舗の酒販売店に対し、ハロウィン当日の午後6時から翌日の午前5時まで、酒の販売を自粛するよう呼びかけが行われました。
  5. ゴミ袋の変更:過去にはオレンジ色のカボチャデザインのゴミ袋が配布されていましたが、今年は節度を保ちつつ、節度あるハロウィンを促す目的で、透明なゴミ袋1万枚が配布されることになりました。

渋谷区環境整備課の森田一央課長は、今回の変更について、「お祭り気分ではなく、公共の場での自粛を促す意味合いが強い」との意見を述べています。

このように、新型コロナウイルスの影響を受けて、伝統的なハロウィンの盛り上がりとは異なる控えめな雰囲気となりました。

テレ東BIZ/YouTube
パンデミックの中での本番

2020年10月31日、新型コロナパンデミックの真っ只中で迎えた渋谷ハロウィン本番。

渋谷区からは「渋谷への外出自粛」の呼びかけが行われ、感染拡大を警戒する中で多くの都民の自主的な行動規範が求められました。

新たに開業した「渋谷スクランブルスクエア」では、このメッセージを伝える映像が公開され、訪問者への啓発が行われていました。

新型コロナウイルスへの警戒を反映して、マスクを組み込んだ仮装の姿が増えており、これが今年の渋谷ハロウィンの新しいトレンドとなりました。

特にスクランブル交差点やセンター街では、マスクを着用した歩行者の姿が多く目立ちました。

渋谷駅前には「感染者“0″迷惑行為“0″HOME HALLOWEEN」という強烈なメッセージが記載された大看板が設置され、多くの人々の目を引きつけていました。

警視庁の警戒態勢

警視庁は、ハロウィンにおける混雑やトラブルを防ぐために、機動隊員を含む数百人の警察官で警戒態勢を敷いていましたが、これまでの渋谷ハロウィンと比較すると、今年のハロウィンは明らかに人出は減少していました。

新型コロナウイルスの影響と減少した人出

2020年の渋谷ハロウィンは、過去数年とは一線を画すものとなりました。

新型コロナウイルスの影響を受け、通常の賑わいを示す大勢の仮装をした人々の姿や、道を埋め尽くす混雑は見られませんでした。

  • 混雑の減少:2019年のハロウィン時の渋谷の景色とは異なり、2020年は歩行者の数が大幅に減少。仮装を楽しむ人々の数も昨年と比べて目に見えて少なくなっていました。新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、多くの都民や観光客が外出を自粛した結果と思われます。
  • 商店街の評価:渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長は、ハロウィンの混雑を毎年見守る立場から、若者たちの外出自粛への協力に感謝の意を示しました。近年、ハロウィンの賑わいはあまりにも過熱し、一部の店舗では混雑のために営業を行えない状況も生じていたという。そのため、2020年のハロウィンは「程よい賑わい」として理想的なものとなったとの見解を示しました。
2020年の「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」について

2020年のハロウィンにおいて、新型コロナウイルスの影響を受けて外出を控える動きが広がる中、渋谷でのハロウィンの新たな取り組みとして「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」が企画されました。

これはオンライン上でのハロウィンイベントであり、実際の渋谷の混雑を避けるとともに、世界中からの参加が可能な新しい形のハロウィンの楽しみ方を提案するものでした。

  • 主催と目的:このイベントは、w渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会、KDDIを中心とする「バーチャルハロウィーン実行委員会」によって開催されることとなりました。渋谷区長自らがこのバーチャルイベントへの参加を呼びかけるなど、伝統的なハロウィンとは一線を画した新しい取り組みとして注目を集めました。
  • アクセス殺到による中止:当初、このバーチャルイベントは10月26日に開催される予定でした。しかし、イベントの注目度の高さを示すかのように、世界中からのアクセスが殺到。これにより、サーバーに過度な負荷がかかり、安定したイベントの運営が困難となったため、当日の実施は中止となる決断が下されました。
再挑戦の結果

中止となった当日のイベントですが、実行委員会は対策を講じ、再度の開催し多くの人が参加しました。

バーチャル渋は、新型コロナウイルスの影響下での新しいエンターテインメントの形として、今後の可能性を示唆するものとなりました。

moviecollectionjp/YouTube
変わる参加者とハロウィンブームの終焉の兆し
  • 仮装の変化:過去には仮装する人が大勢いたが、今年はその数が大幅に減少。仮装を楽しむ人たちの中には、以前よりも男性が目立つようになりました。特に、女性をターゲットにしたナンパ目的の男性グループの存在が目立ち、それが女性の参加者減少の一因となっている可能性があります。
  • SNSとハロウィン:スマートフォンやSNSの普及により、ハロウィンのイベントがさらに盛り上がる要因となりました。写真を撮影し、SNSで共有することがコミュニケーションの一部となっていました。しかし、ナンパ目的の参加者がこの流れを利用することも増え、ハロウィンの本来の目的から乖離している様子が見受けられました。
  • 新型コロナウイルスの影響:パンデミックの影響で、多くの仮装者がマスクを着用していました。これにより、仮装の特徴や意味が薄れる結果となりました。顔の大部分を覆うマスクが普及する中、特に顔に焦点を当てた仮装は減少したようです。
毎日新聞/YouTube
ブームの終焉か?

この年、渋谷ハロウィンは一時期のブームを過ぎ、その勢いを失っているように見えました。

ナンパ目的の男性グループの増加や、中途半端な仮装をする中高年の存在など、ハロウィンの雰囲気を損なう要因も増えてきました。

このような状況の中、多くの人々が渋谷ハロウィンへの参加を見送るようになってきているようでした。

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道玄坂、宮益坂、スペイン坂…渋谷は坂に囲まれた谷底の街です。テレビや映画で見る渋谷の風景は地方に住んでいる人にとってさえ日常の延長でしょう。ハチ公や109ビルは都市生活のアイコンであり、ハロウィンや新年には見知らぬ者同士が集結する、渋谷は特別な街なのです。年代によって異なる青春の思い出の名所、ダンジョン化した渋谷駅、都市の顔に隠れた意外な一面など、誰かに話したくなる、とっておきの渋谷を豊富な写真で紹介します。渋谷の変遷を見れば日本文化の歴史がわかり、日本の未来が見えてきます。(「Books」出版書誌データベースより)
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