東京の夜をカラフルに彩り、国内外からの観光客を引き寄せるハロウィン渋谷。
ここ数年でその規模と人気は飛躍的に拡大し、渋谷がハロウィンの夜には魔法にかけられたような雰囲気に包まれることはもはや恒例となっています。
しかし、この圧倒的な魅力の裏には、都市としての課題や問題点も隠れています。この特集では、ハロウィン渋谷の背後にある魅力と歴史、それに伴う課題に焦点を当て探っていきます。
《渋谷ハロウィンの歴史②》犯罪、暴動、パンデミック。渋谷区の挑戦と対策
Shibuya Halloween
「渋谷ハロウィン」
ハロウィンは元々、ケルト人の秋の収穫祭と死者を迎える祭りで、現在のアイルランドやイギリスなどに住んでいた人々によって始められました。
この伝統は、移民と共にアメリカにもたらされ、10月31日の「トリック・オア・トリート」や仮装といった現代のハロウィンの形に進化しました。
渋谷ハロウィンの概要
渋谷ハロウィン(通称:渋ハロ)は、日本におけるハロウィンの中で最も注目されるイベントの一つで、数多くの参加者や観光客が渋谷に集まります。
- 日時:10月の最後の週末や10月31日
- 開催場所:渋谷ハロウィンは、街全体が会場になっています。特に、ハチ公前広場やセンター街を中心に仮装した人が集まります。また、代々木公園をはじめ、ハロウィンのイベントを行う施設も多いです。
- 交通情報:毎年、渋谷のハロウィンは混雑を緩和するため歩行者天国を実施。歩行者天国の実施に伴い交通規制も行われます。
渋谷ハロウィンの現代における特徴と注目度
このイベントの特徴は、主催者がおらず、自主的に集まった参加者によって形成されている点です。
このため、参加者のモラルやマナーが問われることが度々あります。仮装を楽しむ若者たちは、特に渋谷駅周辺を練り歩き、その光景は多くの人々を引き寄せる大きな魅力となっています。
その一方で、大勢の人々が集まることから、警察や自治体は安全対策を強化し、さまざまな取り組みを行っています。
これにより、イベント自体の注目度は高まり、その影響は国内だけでなく海外にも広がっており、この日に合わせて日本旅行を計画する外国人もいるほどです。
実際、渋谷ハロウィンの注目度は非常に高く、過去には参加者数が100万人を超えることも報告されています。
このような背景から、渋谷ハロウィンは日本国内外からの注目度が高まるイベントとして、多くの人々に楽しまれています。
渋谷ハロウィン参加者の年齢層とその傾向
近年の参加者の年齢層は、特に10代後半から20代前半の若者たちが中心となっています。
この年齢層は、ハロウィンの雰囲気を楽しむだけでなく、SNSでのシェアや友人たちとの交流を重視しており、渋谷の街を賑わしています。
また、30代の参加者も増えつつあり、ハロウィンの楽しみ方やコスチュームの工夫など、幅広い年齢層での参加が見受けられるようになってきました。
男女の比率
渋谷ハロウィンの参加者の男女比は年々変動しています。2021年の渋谷ハロウィンでは、男性参加者が全体の53%を占め、女性が47%でした。
しかし、翌年の2022年には男女の差が縮まり、男性が50.4%、女性が49.6%となり、ほぼ同数となっています。
さらに興味深いことに、2018年の渋谷ハロウィンのデータによると、22時頃までの時間帯においては女性参加者が多かったですが、終電間際には男性参加者が増加し、男女比が逆転しました。
これは、女性の方が早めに帰宅し、男性が夜遅くまで楽しむ傾向があるためと考えられます。
文化の融合と創造性の場!
渋谷ハロウィンは、日本独自の文化の中でさらに一層の発展を遂げています。
原宿文化やコスプレ文化の影響を受けたこのイベントは、仮装のクオリティーが高く、多様性に富んでいます。
また、アニメや漫画、映画、ゲーム、スポーツといった多岐にわたるジャンルからインスピレーションを受けた仮装が多く見受けられます。
この街のどこかで、自分のクリエイティビティを発揮し、オリジナリティあふれる仮装を披露する人々。
彼らと出会い、一緒に写真を撮り、新たな交流が生まれる。それが渋谷ハロウィンの醍醐味と言えるでしょう。路上がメイン会場と化し、お祭り騒ぎの中、人々はお互いの仮装を楽しみ、称賛し合います。
また、渋谷ハロウィンは、海外発のイベントを独自にアレンジし、楽しむ日本人の特長を如実に表しています。
ハロウィンだけでなく、クリスマスやバレンタインデーにおいても、日本人は伝統的な枠にとらわれず、新しいスタイルを取り入れています。
「八百万の神」の国、日本人の寛容な精神からくるこの柔軟性は、渋谷ハロウィンが多様でユニークなものとなる大きな要因と言えます。
このようにして、渋谷ハロウィンは、異なる文化や価値観が交差し合い、新たな文化が生み出される場となっています。
そして、ここに集う人々の創造性と寛容さが、このイベントを一層魅力的なものとしています。
渋谷ハロウィンの社会的問題
一方では、一部の参加者による様々な問題が浮き彫りとなり、地域住民や一般の通行人、地方自治体にとっても大きな懸念材料となっています。
ハロウィンの日だけは、渋谷を通らないようにしている人もいるほどです。
- 治安の悪化: ハロウィンの夜、痴漢や窃盗などの犯罪が増加しており、また、奇声を上げる声や、人やバイクによる激しい騒音、暴徒化する騒ぎも発生しています。路上飲酒の禁止にもかかわらず、公然と酒を飲む姿が見受けられ、飲酒によるトラブルも増加しています。
- 公共の場の汚染: 店舗が閉まるため、外での排泄行為が目立ち、エレベーター周辺での排泄も報告されています。また、ガラスの破壊やトイレの詰まりなど、公共施設への損害も深刻です。
- ごみ問題: イベント後の路上には、食べ物の残りや飲み物の缶、ペットボトル、タバコの吸い殻など、大量のごみが散乱します。特に、JR渋谷駅から渋谷センター街にかけては、ごみが多く見受けられ、植え込みにも無造作にゴミが投げ込まれています。渋谷区によれば、ハロウィンの翌日のごみの量は、可燃ごみが1トン超、ペットボトルも100キログラムにも及びました。
これらの問題を受けて、渋谷区長は「法令を守るように」とのコメントを発表。
警察も取り締まりを強化していますが、依然として、この地域は本来の主旨からかけ離れた“無法地帯”の様相を呈しているのが現状です。
これらの問題が今後のハロウィンイベントの存続に影響を与える可能性もありますので、参加者一人一人がモラルを持ち、ルールを守ることが求められます。
渋谷ハロウィンの経済効果について
ハロウィンは、ただのイベントとしての側面だけでなく、経済的な側面も持っています。
その経済効果を測る指標の一つとして、参加者がどれほどのお金を使ったかが参考になります。
過去数年の調査によると、平均的な消費額は2016年が5273円、2017年4662円、2018年が4674円と、微減傾向にはあるものの大きな変動は見られません。
これはハロウィンに対する消費意識が一定のレベルに安定していることを示している。
特に渋谷のハロウィンに注目すると、衣装にかける金額にはバラつきが見られます。
当日のアンケート結果によれば、最も少ない金額として「100円」と回答した参加者もいれば、7000円を使ったという参加者もいました。
しかし、大多数の参加者は3000円から5000円の範囲で衣装に費用をかけていました。このデータから、多くの参加者がリーズナブルな価格帯の衣装を選ぶ傾向にあることが分かります。
限定的な経済効果
さらに、渋谷ハロウィンの経済効果に関する議論は、その規模や知名度を考慮すると意外にも複雑です。
一見、大勢の観光客や若者が集まれば、地域経済にとってプラスになるのではと考えられるかもしれません。しかし、実際の状況は以下のような点でその効果が限定的であると言われています。
- 店への来客が少ない:渋谷ハロウィンの参加者は、主に路上でのイベントを楽しみたいと考えているため、長時間飲食店や他の商店に入ることが少ない。これにより、多くの店が通常よりも少ない利益を上げる結果となっている。
- 自衛措置による商店の営業制限:マナーの悪さを避けるため、多くの商店が早めに閉店したり、アルコールの販売を自粛するなどの措置を取っている。これが結果的に売上の減少につながっている。
- 外国人観光客の行動パターン:外国からの観光客も渋谷ハロウィンを楽しみに訪れるが、彼らの目的は主に「日本のハロウィンの風景を楽しむ」ことにある。そのため、商店での購入や飲食店での食事よりも、路上での写真撮影や観光が優先されることが多い。
- 観光公害の問題:大勢の観光客が訪れることでゴミや治安の問題が深刻化することが懸念されている。特に、外国人観光客の中には、地域のマナーやルールを知らずにマナー違反を犯す場合もあり、地域住民や商店との間に摩擦が生じる可能性もある。
確かに渋谷ハロウィンが持つ経済効果は、一部の商店にとってはプラスになるかもしれませんが、全体としては限定的であり、それに伴うマイナスの影響が大きいと考えられます。
今後の渋谷ハロウィンの取り組みや対策を検討する際には、これらの点を考慮して、地域全体の利益を最大化する方向での取り組みが求められるでしょう。
渋谷区の対策
渋谷区はハロウィンの盛況と治安維持のため、仮装のための更衣室、仮設トイレの設置、ゴミ捨て場のスタッフを常駐させるなど、これまでに多くの対策を実施してきました。
これらの対策にかかる費用は600万円以上とも言われていますが、ありがたいことに渋谷に本社を置く企業の協賛金により賄われています。
それでも治安維持には足りず、2019年には警備費などで1億円以上の税金が投入されました。
実際に、最近の渋谷のハロウィンは他の大規模イベントと比べても、異例の治安体制がとられていといえます。
人だかり、叫び声、ケンカ、酔って路上で寝ている人、あらゆる事態に対してすぐに警備員や警官が駆けつけるようになっています。
このような税金の使い方は、渋谷区民から見れば、一部の身勝手な参加者のために自分たちの税金が大量に使われていると感じられ、不満の声も上がっています。
そのため、渋谷区も今後の対策として、有料化にして費用を賄ったり、代々木公園を使用するなどの可能性を検討しています。
「警察の厳戒態勢」渋谷ハロウィンの警備現場
渋谷ハロウィンは、参加者や観光客の楽しみとしてはもちろんのこと、治安維持や交通整理といった背景には、警察の手間暇をかけた厳戒態勢が必要となっているのが現状です。
- 数百人規模の警察配置:渋谷区内、特にスクランブル交差点付近には、警察車両や制服警察官を随所に配置し、数百人規模での厳重な警戒が行われている。
- DJポリスの活用:警察が新たに採用した拡声器を使用する「DJポリス」は、民間の警備員とともに、立ち止まっている人々に移動を促す役目を果たしている。さらに、外国人観光客や参加者向けに「ウオーク・スローリー」といった英語の指示も行われている。
- スクランブル交差点の交通整理:渋谷駅前のスクランブル交差点では、斜め横断禁止などの交通規制が実施されている。しかし、その規模と人出の多さから、警察官が黄色いテープを使用して、人々が車道に出ないよう整理している。
- 特定エリアの警察配置:スクランブル交差点を中心とした、センター街から東急百貨店本店、道玄坂までのエリアには、特定の警察官が配置され、人々の誘導が行われている。
- 機動隊員の待機:ハロウィンの治安悪化を受けて、スクランブル交差点付近では、警視庁の機動隊員が数百人規模で待機している。
- 一部の問題行動:警備の厳戒態勢にもかかわらず、パトカーの進路を塞ぐような行動を取る若者や、警察官を挑発的に睨みつける者も存在している。
このように渋谷ハロウィンの治安維持に関しては警察も相当な警備が必要とされているのがわかります。
ワールドカップの日本代表戦や年末年始のカウントダウンにも匹敵する警備体制が、渋谷ハロウィンのために敷かれているのです。
渋谷ハロウィンに対する批判の高まり
このように数々の問題が噴出する中で、渋谷ハロウィンに対する批判の声が高まっています。
例えば、2018年の渋谷ハロウィンの騒乱は、その転換点とも言える出来事でした。当時、渋谷に集結した一部の人々が暴徒化し、大きな騒ぎとなりました。
この事件によって、渋谷区には300件を超える苦情が寄せられました。区民の中には、「渋谷ハロウィンを廃止してほしい」との声もあがりました。
しかし、渋谷区の立場は難しいものでした。このイベントは区が主催しているわけではなく、特定の団体や個人が開催しているわけでもない。
つまり、勝手に集まって勝手に発生しているイベントであるため、中止や禁止の判断が難しいのです。
特に注目すべきは、地元の商店街からの声です。渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長は、メディアに対して「変態仮装行列」との言葉で渋谷ハロウィンの参加者を揶揄。
このような発言は、地元の不満や経済的な影響を強く感じていることを示している。
一方、メディアの影響も無視できないものになっています。
渋谷ハロウィンを批判したコンテンツを作ればPVが稼げると考えた、マスメディア、ウェブメディア、YouTuberなどが意図的にこのようなコンテンツをとりあげたり、あえて炎上するような写真を投稿したりしています。その結果、批判的な声はさらに増大しています。
「ハロウィンごみゼロ大作戦」清掃とリユースの取り組み
渋谷ハロウィンは、その華やかなイベントとは裏腹に、終わりを迎えると多量のゴミが残されるのが常となっています。これは地域の美観だけでなく、環境問題としても大きな課題となっています。
多くの人々や団体がその責任を感じ、自発的な清掃活動に乗り出している中、その最前線で活動を展開しているのが、2015年に渋谷区の商店街店主らによって設立された「ハロウィンごみゼロ大作戦 in 渋谷 実行委員会」です。
- 清掃活動の実施:「ハロウィンごみゼロ大作戦 in 渋谷 実行委員会」は、ハロウィンの盛り上がる時期に清掃活動を実施。ボランティアを募り、ゴミ袋や清掃用具を提供して、街をきれいにする取り組みを行っています。
- リユース活動:使用後のハロウィングッズの回収を行い、オンラインマーケット「楽天ラクマ」で再販売。得られる収益は再び渋谷の美化活動に役立てられる仕組みを持っています。
- アート活動の組み合わせ:清掃活動で集めた資源からアーティストがオリジナルのグッズを作成。これもラクマで販売され、収益は美化活動に使用されます。
実行委員会の設立と活動
また、実行委員会の活動は、ソーシャルイベント・プロデュース会社「グリーンアップル」に運営が委託されています。
この実行委員会は、ハロウィンの際のゴミ問題を解決するための取り組みをリードしています。ゴミの回収や分別、そしてその後の処理など、ハロウィン後の街の美観を保つための一連の流れを組織的に進めています。
このような持続的で循環型の取り組みは、渋谷ハロウィンの裏側に存在する、区民や団体の協力と献身の証です。
ボランティアや関連業者のサポートがなければ、この大規模なイベントは成立しないという現実を、私たちは忘れてはいけません。
History of Shibuya Halloween
渋谷ハロウィンの歴史
渋谷ハロウィンの盛り上がりは、特定の場所やイベントに起因しているわけではなく、日本のハロウィン文化の進化と成熟の結果であると言えます。
戦後の原宿とハロウィンの始まり
第二次世界大戦後、原宿は米軍関係者向けの施設が多く、外国文化との交流が盛んでした。
1950年にオープンした「橋立商店」(後のキデイランド)は、外国人客の需要に応えて洋書や高級玩具を取り扱うようになりました。
この店が外国の祝日やイベントに関する商品やアイテムを販売することで、日本の人々に外国文化を紹介する役割を果たしました。
ハロウィン商品の導入
外国人客からのリクエストを受けて、キデイランドのスタッフは1983年ごろからハロウィン関連の商品を取り扱い始めました。
また、アメリカに渡ってハロウィンの伝統を学び、日本に取り入れる試みを始めたのです。この取り組みは、外国の祝日や文化を日本に浸透させるための一つの方法として捉えられました。
ハロウィン仮装パレードの開始(1983年)
1983年、キデイランドは子供向けのハロウィン仮装パレードを開始しました。
この時期には、原宿や渋谷などのエリアでのハロウィンイベントが増え、インターナショナルスクールでもハロウィンの概念を導入していました。
このような動きは、日本の子供たちや家族にハロウィンの楽しさや文化を広めるための一環でした。
日本のハロウィン文化の成熟
キデイランドでの仮装パレードや他のハロウィンイベントの成功により、日本のハロウィン文化は徐々に成熟していきました。
初めは外国人客中心であったこれらのイベントは、次第に日本人客も参加するようになり、ハロウィンが日本の秋のイベントの一つとして定着していったのです。
ディズニー・ハッピー・ハロウィーン(1997年)
東京ディズニーランドでのハロウィンの取り組みは、1997年から始まった「ディズニー・ハッピー・ハロウィーン」という一夜限りのイベントからでした。
このイベントの成功は、ハロウィンを日本のエンターテインメントの一部として確立するための大きなステップとなりました。
カワサキ ハロウィン パレード(1997年)
1997年は、カワサキハロウィンパレードが初開催された年でもありました。このパレードは、日本のハロウィン文化の中で非常に人気のあるイベントとして成長しました。
ハッピー・ハロウィーン・トワイライト・パレード(1999年)
ディズニー・ハッピー・ハロウィーンの成功を受けて、1999年には「ハッピー・ハロウィーン・トワイライト・パレード」という本格的なハロウィン・パレードが開催されました。
夜のパレードは、ディズニーランドの魅力的なキャラクターや装飾をハロウィンテーマで彩り、多くの来場者に感動を与えました。
特別な日に渋谷に集合しよう!(2000年〜2001年)
渋谷区でのハロウィンの盛り上がりは、2000年代初頭から注目されています。
特に2000年から2001年にかけて、渋谷スクランブル交差点周辺では、新年やハロウィンなどのイベント時に人々が集まるようになりました。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(2002年)
関西地方においても、ハロウィンの文化が浸透してきました。
特に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が2002年4月27日に「ハリウッド・ハロウィーン」イベントを導入したことが大きな影響を与えました。
このイベントは、その後「ハロウィーン・ホラー・ナイト」として発展し、多くの来場者を魅了しています。
サッカーW杯で渋谷に人が集結(2002年)
2002年の日韓ワールドカップは、日本サッカー史における重要なターニングポイントとなりました。
特に2002年6月9日のロシア戦は、日本がワールドカップで初めて勝利を挙げる試合であり、その歓喜は国中に広がった。
渋谷のスクランブル交差点は、その勝利を祝福する場として多くのサッカーファンや東京都民であふれ返りました。
夜の渋谷は、祝福の歓声や日の丸の国旗、サッカーのユニフォームを纏ったファンたちで賑わい、その様子は多くのメディアに取り上げられました。
しかし、その歓喜の裏には、一部の過激な行動を取る者たちもいました。
上半身裸で駅の屋根からぶら下がる者や、警官に対して暴力を振るった者など、一部の不適切な行為が報じられました。
翌日の毎日新聞夕刊の報道によれば、公務執行妨害容疑で3人、公然わいせつ容疑で1人の少年が逮捕されたと伝えられています。
この出来事は、渋谷区がハロウィンの聖地として定着するきっかけの一つとなり、以後、毎年ハロウィンの時期には多くの仮装した人々が渋谷に集まるようになりました。
ディズニーランドで約2ヶ月間のハロウィンイベント(2003年)
2003年は、東京ディズニーランドの開園20周年という特別な年でした。
そのため、ハロウィンイベントも大幅に拡大し、従来の数日間だけでなく、9月から約2か月間にわたってハロウィンイベントが開催されることとなりました。
さらに、この特別な年を記念して、イベント期間中の全日、パーク内での仮装が許されることとなりました。これまで、仮装は特定の日に限られていたので、これは非常に大きな変化でした。
この変更により、ディズニーランドには多くの仮装した来場者が訪れるようになりました。
ハロウィンの雰囲気を楽しみたい多くのファンが、自分たちのオリジナルの仮装でパークを訪れるようになり、その光景はとても華やかで賑やかでした。
仮装の文化が若者の街「渋谷」に広がる
しかし、ハロウィンの盛り上がりはディズニーランド内だけに留まらず、都心部の渋谷にも広がっていきました。
渋谷は、若者の文化や流行が集まる場所として知られており、この頃から、ハロウィンの仮装を楽しむ若者たちが増えてきました。
特に、ディズニーランドでのハロウィンイベントが大きな話題となっていたこともあり、多くの若者が渋谷でのハロウィンパーティーや仮装を楽しむようになりました。
SNSとカメラの普及とハロウィンの仮装(2004年〜)
カメラ付き携帯の普及とSNSの誕生・拡大は、ハロウィンの日本でのブームを加速させる重要な要因となりました。
2004年頃、携帯電話にカメラが標準装備となり始めると、人々は日常の風景や自分のスタイル、行事の様子などを手軽に撮影し、保存することができるようになりました。
そして、SNSの登場と普及によって、撮影した写真や動画を瞬時に友人や家族、さらには未知のユーザーと共有することが可能となりました。
特に、ミクシィやフェイスブック、マイスペースなどのSNSは、自己表現の場として非常に人気を集めました。
ハロウィンは、仮装というビジュアルが魅力的なイベントです。
仮装した自分や友人、イベントの様子を撮影し、SNSにアップロードすることで、多くの人々とその楽しさや興奮を共有することができるようになりました。
電車内ハロウィンパーティ(2007年)
1990年代後半から、日本ではハロウィンの時期に特異な現象が発生しています。
一部の外国人、特に白人を中心とした仮装した若者たちによる、「ハロウィン・トレインジャック」と称される電車内での騒動が、山手線を中心に度々見受けられるようになりました。
これにより、ホームは人で溢れかえり、一時は非常に危険な状態が生まれました。さらに、1997年には、2人の外国人がこの行為によって逮捕されるに至っています。
この現象は、2007年にピークを迎えました。当時、東京のJR山手線には、約500人もの外国人グループが押し寄せ、車内は大混乱。
無秩序な行動や公序良俗に反する行為がエスカレートし、蛍光灯の破壊、網棚への登攀、さらには半裸や全裸での乱行が報告されました。
この騒動の模様はYouTubeや各種SNSで拡散され、社会的な波紋を呼び起こしました。
一連の「電車内ハロウィンパーティ」の文化は、インターネットの普及と共に、特に外国人コミュニティ内で広がっていったとみられます。
これらの行為は、違法行為に近いとされており、議論を呼んでいます。
さらに、この特異な文化は、東京だけでなく、大阪のJR環状線にも拡散。2000年頃から、大阪でも同様の現象が報告されています
日本のハロウィンブームが加速(2009年)
2009年、日本のハロウィン文化は新たな局面を迎えました。
ディズニーランドの影響、ディズニーシーの方針転換、そして都市部の祝賀ムードの拡大は、このブームを後押しする大きな要因となりました。
- ディズニーランドとディズニーシーの役割:ディズニーランドはアメリカ文化の象徴として、日本でのハロウィン文化の発展に大きく寄与してきました。ディズニーシーは最初はハロウィンをメインイベントとして取り入れていなかったものの、ハロウィン文化の普及を受けて方針を転換。特に「アメリカンウォーターフロント」エリアの活用は、多くの来場者にハロウィンの魅力を伝えました。
- 都市部での祝賀ムード:渋谷をはじめとする都市部では、ハロウィンのムードが一気に高まりました。ストリートパーティーや大規模なハロウィンイベントが開催されるようになり、都市部のハロウィンは一大イベントとして認識されるようになりました。
- SNSとカメラ付き携帯の影響:SNSの普及とカメラ付き携帯の登場は、ハロウィンブームを加速させる大きな要因となりました。人々は仮装の写真を撮影し、SNSを通じて共有することで、ハロウィンの楽しみ方が多様化しました。この交流の場としてのハロウィンは、特に若者の間で非常に人気となりました。
このような状況の中、2009年は日本のハロウィン文化が新たなステージに進むきっかけとなる年となりました。
多くの人々がハロウィンの魅力を再認識し、その楽しみ方を広めることで、ハロウィンは日本の一大イベントとしての地位を築き上げました。
ハロウィン文化の認知と渋谷のスクランブル交差点文化(2010年)
2010年は、日本でハロウィンが一般的なイベントとして認知されるきっかけとなる年でした。
同年10月9日に日本ハッピーハロウィン協会が設立、ハロウィンの文化を広めるための大きな一歩を踏み出したのです。
この協会の設立により、ハロウィンの楽しみ方や意義についての情報がより広まり、多くの人々がハロウィンを楽しむようになりました。
渋谷では、仮装した人々が見られるようになっていましたが、まだ、今ほど大規模なイベントではありませんでした。
しかし、渋谷のスクランブル交差点では、サッカーW杯の日本代表の勝利を祝うため、数百人が集まり、ハイタッチを交わすなどの喜びを表現しましたが、まだこの頃はセンター街の方がメインでした。
この頃の渋谷は、何かのイベントがあれば多くの人が集まる場所として定着し始めていました。
日本のハロウィンは渋谷に注目!(2011年)
2011年、日本のハロウィン文化は大きなターニングポイントを迎えました。
この年のハロウィンは、特に都市部での人気が急速に高まり、その中心として渋谷が注目を浴びるようになりました。
- 店舗やブランドの参入:多くの店舗やブランドがハロウィンを商機と捉え、関連イベントやキャンペーンを実施するようになりました。特にアメリカンアパレル渋谷は、その先駆者としてハロウィンをテーマにしたイベントを行い、多くの来店客を引きつけました。
- 警察の介入:
- 渋谷のハロウィンイベントの盛り上がりを受けて、警察もその対応に乗り出しました。大勢の人々が集まると、治安の問題や交通渋滞のリスクが高まるため、警察は秩序を守る役割を果たす必要がありました。
文化の浸透
2011年当時の渋谷ハロウィンは、近年のような大規模なものではありませんでしたが、この年を境に日本のハロウィン文化の浸透が本格的に始まりました。
渋谷のセンター街が大勢の仮装をした人々で埋め尽くされるような大混雑はまだ見られませんでしたが、ハロウィンが日本の一大イベントとして認知され始めたのはこの頃からです。
この2011年のハロウィンを振り返ると、日本のハロウィン文化がどのように進化してきたのか、その原点を感じることができます。
渋谷にハロウィンブームが到来!(2012年)
2012年の渋谷ハロウィンは、過去数年と比べて特に目立った賑わいを見せ、多くの人々が工夫を凝らしたハイクオリティな仮装やコスプレで渋谷の街を彩りました。
10月28日には、事前のハロウィンイベントが開催され、大勢の参加者が集まりました。さらに、ハロウィン本番は平日の水曜日であったにも関わらず、多くの人々が渋谷に集結しました。
このような、渋谷ハロウィンの盛り上がりは、さまざまな要因が組み合わさって生じた現象でした。
【要因1】SNSの普及
2012年頃は、スマートフォンの普及とSNSの成長が著しかった時期です。
TwitterやFacebookなどのプラットフォームでは、ユーザー同士が瞬時に情報や写真を共有できるため、ハロウィンの仮装やイベントの様子をリアルタイムで拡散することが可能となりました。
特に女の子たちが仮装の写真をアップロードすることで、他のユーザーとの交流や注目を浴びることが増え、ハロウィンの楽しみ方が広がったと考えられます。
【要因2】ポップカルチャーの影響
2012年にリリースされた「ファッションモンスター」は、きゃりーぱみゅぱみゅの代表曲の一つとして、若者を中心に非常に人気がありました。
ミュージックビデオのハロウィン的なビジュアルや、その楽曲が使用された「GU」のCMは、ハロウィンのムードを盛り上げる大きな要因となりました。
【要因3】アクセスの容易さ
東武伊勢崎線、東武東上線、西武池袋線などの沿線から渋谷に一本でアクセスできるようになったことも、ハロウィン文化の拡大に寄与した可能性が考えられています。
これにより、様々な地域から簡単に渋谷にアクセスできるようになり、より多くの人がハロウィンイベントに参加することができました。
これらの要因が組み合わさることで、2012年の渋谷ハロウィンはこれまで以上に盛り上がりを見せ、ハロウィン文化が日本全体で確立していくきっかけとなりました。
しかし、このような盛り上がりの裏では、犯罪の温床ともなりえる事態が生じていたことも指摘されていました。大勢の人が集まることは、同時に治安の問題が生じる可能性もあったのです。
渋谷がハロウィンの聖地へ!(2013年)
2013年、日本全国でハロウィンの人気が高まる中、特に渋谷がその聖地として注目されるようになりました。
平日である木曜日にも関わらず、多くの仮装者たちが渋谷に集結し、年々の盛り上がりが一旦ピークを迎えたことが伺えます
SNSの影響
この年のハロウィンでは、SNSが大きな影響を及ぼしました。特にTwitterを通じて、人々は仮装の写真や動画、グループの動向をリアルタイムで共有しました。
斬新で面白い仮装をした集団や個人が目撃されると、その情報は瞬く間に広まり、注目を集めました。
このような交流の場は、仮装を楽しむ人々にとっても、それを見る人々にとっても、新しいエンターテインメントとなりました。
渋谷109のハロウィンイベント
この年、渋谷のランドマークであり、若い女性たちにとってのファッションのメッカである渋谷109では、「109 HAPPY HALLOWEEN PARTY」というハロウィンイベントが開催されました。
このイベントは、ショップの店員たちが仮装をし、多くの来場者と共にハロウィンを楽しんだことで、渋谷のハロウィンブームを更に盛り上げる要因となりました。
SNSと共に拡大する渋谷ハロウィンの盛り上がり(2014年)
2014年の渋谷ハロウィンは、過去をしのぐ大盛り上がりを見せました。その背景には、SNSの力が大きく関与していたと言えるでしょう。
仮装者の増加とSNSの影響
この年の渋谷ハロウィンには、推定で1000人以上の仮装者が参加。センター街は仮装した人々で溢れ返り、渋谷のハロウィンの盛り上がりを象徴するシーンとなりました。
また、SNSの普及に伴い、ハロウィンの様子がリアルタイムで共有されるようになりました。
インスタグラムやツイッター、Facebookなどのプラットフォームでの投稿が急増。特にハロウィンファッションの紹介や、大人向けのイベント情報などが注目され、多くの人々が注目するイベントになりました。
スクランブル交差点のシンボル性
この頃、渋谷のスクランブル交差点は、大晦日のカウントダウンやW杯の勝利など、さまざまなお祝いの場として多くの人が集まるようになっていました。
これは渋谷ハロウィンにも波及し、スクランブル交差点は仮装した人々で埋め尽くされました。この年以降、スクランブル交差点は渋谷ハロウィンの主要会場となりました。
盛り上がりの裏の問題行動
渋谷ハロウィンが一大イベントとして盛り上がる一方、参加者の中には公共の場を不適切に利用するなどの問題行動をとる者も出てきました。
これにより、渋谷ハロウィンの評価が二分する状況となりました。
- トイレの占拠:ハロウィン当日、特に夜間に渋谷の駅やデパート、商業施設のトイレは、仮装やメイクを整える若者たちで賑わいました。その結果、トイレを本来の用途で利用したい一般の来訪者が利用困難な状況となりました。
- トイレの汚染:さらに深刻なのは、ボディペイントや血のり、特殊メイクの残骸でトイレが汚れるという問題。清掃員や施設管理者からは、これらの汚れが普通の清掃では落ちにくく、特別な手段を講じる必要があるという声が上がりました。
行政や関係機関の対応
これらの問題を受けて、渋谷区や関係機関は対策を検討し始めました。一部の施設では、ハロウィン期間中のトイレの利用を制限する動きも見られました。
また、啓発キャンペーンを実施し、参加者たちにマナーの向上を訴える取り組みも始まりました。
渋谷ハロウィンの混乱と治安問題
渋谷ハロウィンが年々規模が拡大する中で、治安に関する課題も大きな懸念として浮上してきました。
大勢の人が集まることで犯罪リスクが高まることは予測されていたものの、具体的な事件が報告されるようになったことは、行政や警察への対策を強化する動きにつながりました。
- DJポリスの配備:警視庁は、ハロウィン期間中の混乱を緩和するために「DJポリス」を導入しました。DJポリスは、大音量のスピーカーや拡声器を用いて、訪問者への注意喚起や指示を行います。これにより、人々の移動の流れをスムーズにしたり、不適切な行為を行う者への警告を行ったりすることができるようになりました。
- 痴漢事件や公務執行妨害事件:犯罪の実例としては、40代の男性による痴漢事件や19歳の少年による公務執行妨害事件などが報告されました。これらの事件は、ハロウィン祭りの中での違法行為が実際に発生していることを示す事例となり、治安維持の重要性を再認識させるものとなりました。
- 犯罪リスクの高まり:ハチ公前広場やスクランブル交差点のような人気の集まる場所では、犯罪のリスクが高まる傾向にあります。これは、多くの人々が密集する中で、犯罪者が目立たないように行動することが比較的容易であるためです。
渋谷ハロウィンのゴミ問題への対応
2014年の渋谷ハロウィンでは、参加者によって大量のゴミが放置され、それが社会問題となりました。
ビール缶、ペットボトル、汚物でいっぱいのビニール袋、紙屑などが雨に濡れた地面に散乱しており、清潔を保つための努力が必要とされました。
- 国際的なコントラスト:この年、海外のサッカーワールドカップ会場で、ゴミをきちんと片付ける日本人サポーターのマナーが国際的に絶賛されていたことと対照的で、この渋谷でのゴミ問題は特に注目されました。SNSを通じて、この極端な状況が大きな話題となり、多くの人々がゴミ問題の解決に向けての意識向上を求める声を上げました。
- 地域社会の対応:ゴミが散乱する中、渋谷の地域社会は迅速に対応しました。元々、渋谷では多くのボランティアが日常的に清掃活動に参加しており、街の美化に寄与していました。これにより、散乱したゴミも比較的迅速に清掃され、街の清潔さが保たれました。この清掃活動は、地域住民や訪れる人々にポジティブな印象を与え、ボランティアの重要性や地域社会の協力の大切さを改めて認識させるきっかけとなりました。
今後の課題
このように、この年のハロウィンはその盛り上がりとともに、その裏にはさまざまな問題生まれてきました。
行政や地域住民、参加者として、これらの問題をどのように解決し、安全に楽しむことができるかが、今後の課題として残ったのです。
ハロウィンの聖地としての問題(2015年)
2015年、渋谷は日本におけるハロウィンの聖地としての地位を絶対的なものとしました。
これまでは、川崎や六本木、東京ディズニーランドでのハロウィンが有名でしたが、この年の渋谷の盛り上がりはそれらを圧倒しました。
約7万人という驚異的な数の仮装者が渋谷に集結。その規模と熱気は、かつてないハロウィンのフィーバーをもたらしました。
しかし、このような集まりがもたらす様々な問題、特に騒音やゴミの問題、治安の懸念も同時に拡大しました。
この事態を受け、渋谷区の長谷部区長は急遽記者会見を実施。区民と訪問者に対して終電までには帰宅するよう呼びかけるとともに、騒音やゴミ問題への自主的な対応を強く求めました。
このメッセージは、安全で楽しいハロウィンを求めるとともに、地域住民との共生を重視する渋谷の方針を示したものになりました。
トイレ問題への対策としての「仮説テント」
2014年のハロウィンでは、渋谷のトイレが仮装する若者たちによって占拠されるという問題が発生しました。その影響を受け、2015年のハロウィンでは渋谷区が新たな取り組みを導入しました。
渋谷の各所に「仮説テント」が合計で9台設置されました。これは仮装の準備や衣装の変更を行うための特設スペースとして提供されました。
訪問者たちはこれらのテントを利用して、外での仮装の準備をスムーズに行うことができました。
それでも、大量の人々が集まることが予想されたため、渋谷区は「できるだけ自宅で仮装を完了させてから来場するよう」公式に呼びかけました。
このような対策を通して、区は再びのトラブルを未然に防ぐ試みを行ったのです。
警視庁の警備体制と発生したトラブル
2015年のハロウィンでは、前年の混乱やトラブルを反省材料として、警視庁は警備体制を大幅に強化しました。
- 人員の増員:前年よりも警察官の配置を倍増させることで、秩序の維持と安全確保に努めました。特に渋谷駅前やスクランブル交差点といった大勢の人々が集まるスポットでは、機動隊員を含む数百人の警察官が警備にあたった。
- DJポリスの活用:スクランブル交差点などで、DJポリスが大音量のスピーカーを使用して注意喚起や指示を行うなど、視覚・聴覚を活用して秩序の維持に努めました。
しかし、全てのトラブルを防ぐことは難しかった。特に注目された事件として、迷彩服のコスチュームを身に着けた20代の男がエアガンのような物で警察官に暴行を働いた事件があり、この男は現場で現行犯逮捕されました。
さらに、大勢の人々が集まったことによる混雑も問題となりました。
歩道や交差点が過度に混雑して移動が困難になる場面が複数回発生。その結果、人々が転倒するなどの小さなトラブルも発生しました
ハロウィン後の渋谷のゴミ問題とボランティア活動
ハロウィンの夜が明けると、またもや渋谷の街はゴミであふれていました。
仮装グッズや空き缶、食品の残骸などが道端に散乱しており、その光景に住民や通行人は今年も怒りを感じることになりました。
一方、今年も翌朝から多くのボランティアや有志が街中のゴミ拾いに取り組む姿がありました。
中でも、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんがゴミ拾いに参加し、その姿がメディアやネットで取り上げられ話題となりました。
子供たちの参加
特に多くの人々の心を打ったのは、子供たちが自発的にゴミ拾いをしている姿で、これに対する感謝や心配の声が多く寄せられました。
ネット上では、「大人たちが残したゴミを子供たちが拾う姿は悲しい」といったコメントや、ハロウィンに参加する大人たちのマナーについての意識向上を求める声が相次ぎました。
「お化けゴミ袋」東京都の対策と環境意識の取り組み
この年、東京都が行った渋谷ハロウィンのゴミ問題対策は、参加者のイベントへの繋がりを高めるとともに、環境問題への意識を向上させる目的がありました。
その方法は単にゴミ袋の配布だけでなく、よりクリエイティブなアプローチをとったもので、多くの人々から評価を受けました。
- 無料ゴミ袋の配布:東京都は、ゴミ問題の対策として、参加者に対してゴミ袋を無料で配布しました。これにより、参加者は簡単にゴミをその場で捨てることができ、街がきれいに保たれることを目指しました。
- クリエイティブなデザイン:配布されたゴミ袋は、特製の半透明のポリエチレン製で、90リットルの収容容量を持っています。最もユニークなのは、ゴミが入ることでカボチャのお化けの形に変わるデザインであることです。
- アートとしてのゴミ拾い:この特製ゴミ袋を使用することで、参加者はゴミ拾いそのものをアート活動の一部として楽しむことができました。街中がカボチャのお化けで彩られ、ハロウィンの雰囲気をより一層盛り上げることができました。
- 環境への意識の高揚:この取り組みは、参加者にハロウィンの楽しみとともに環境に対する意識を高めることを期待しています。特に若者たちにとって、このような方法で環境問題に取り組むことは、より身近で実感することができるのではないでしょうか。
この対策の背景には、単に問題を解決するだけでなく、参加者の体験価値を高めることも含まれていました。そして、この取り組みの成功を受けて、他の都市やイベントでも応用することが検討されています。
継続的な取り組みの成果と課題
2015年以降、この無料ゴミ袋の配布活動は継続されています。
それにより、ゴミの散乱問題は一定の改善を見せていると言われています。しかし、ゴミ問題はまだ完全に解消されてはおらず、今後もさらなる啓発活動や取り組みが必要とされています。
歩行者天国の出現!(2016年)
2016年10月31日は、月曜日でしたが、それでも前年と同様に渋谷ではハロウィンで大きな賑わいが見られました。
事前の対策強化
この年、渋谷の長谷部健区長は、「節度を持って楽しんで」という異例のメッセージを発信しました。
さらに、区の要請を受けて、ドン・キホーテや周辺のコンビニエンスストア各店では、アルコールの瓶の販売を自粛しました。これは、過度の飲酒によるトラブル防止や、公序良俗の維持を目的としていたと考えられます。
初の交通規制の導入
この年、渋谷では安全な環境を確保するため、そして多くの人々が楽しくイベントを楽しむために交通規制が導入されることとなりました。
交通規制の詳細
- 期間: 2016年10月28日から31日までの4日間。
- エリア: 渋谷駅前のスクランブル交差点を中心に、SHIBUYA 109の近くの道玄坂下の交差点から文化村通りの約300メートルと、道玄坂の約250メートルが歩行者天国とされた。
- 規制内容: 上記のエリアでは、車両の通行が禁止または制限されました。
- 規制の適用時間: 固定された時間は設けられず、警視庁がその都度、混雑の状況やイベントの進行具合に応じて通行規制の開始・終了を判断しました。
この取り組みにより、渋谷のハロウィンはより安全に、そしてより楽しむことができる環境が整備されました。この対策は一定の成功を収め、翌年以降さらなる対策や改善が続けられていくことになりました。
ハロウィンの警備と治安対策
この年も、機動隊員や渋谷署の警察官など、数百人が警備にあたりました。
スクランブル交差点には、「DJポリス」として知られる機動隊の広報班が配置され、音楽を流しながらの交通誘導や情報提供を行い、参加者たちとのコミュニケーションを取る役割を果たしていました。
「予想とは異なる静かな初日」
2016年のハロウィンは、31日が月曜日であるため、28日~30日の週末も含めて、大勢の人々が渋谷に集まることが予想されていました。
前年はハチ公前広場など、渋谷の中心部が様々なコスチュームを着た若者たちで賑わっていました。
しかし、28日の初日はその予想とは異なる様子でした。
普段のハロウィンのように、ゾンビやナース、マリオなどのキャラクターに変身した大勢の若者たちが広場を埋め尽くす光景は見られませんでした。
実際、記者が訪れた際には、わずか1、2組の仮装グループがいるのみで、普段の渋谷と変わらない静かな風景が広がっていました。
また、前年にはゴミの問題があったため、この日のために集まった清掃ボランティアの人たちも、出番を待つ姿が目立ちましたが、彼らの手を煩わせるような状況にはなりませんでした。
特に目を引いたのは、ハロウィンのために用意されたジャックランタンのデザインのゴミ袋が、ほとんど使われずに放置されている様子でした。
この日の渋谷の冷え込みや雨の影響で、普段のようなハロウィンの賑わいは見られませんでした。気温が11度近くまで下がり、多くの人々が寒さを感じていました。
そのため、露出度の高い衣装を選んだ女性も多かったのですが、その上に防寒着を着込んでしまう姿が目立ちました。
当然、そうした女性をターゲットにしたナンパ集団も、この日はほとんど姿を見せませんでした。
ハロウィンの日の歩行者天国
渋谷ハロウィンは週末の29日からは早速その熱気が高まり始め、夕方19時頃から道玄坂エリアは歩行者天国と化し、仮装した人々が道路を埋め尽くしました。
モンスター、ヒーロー、アニメキャラクター…多種多様な仮装が記念撮影のための一堂に会し、SNSを中心にその賑わいの様子がシェアされました。
さらに、混雑から渋谷駅近辺の車道は一部通行止めとなり、歩行者専用エリアが急遽確保された。
渋谷のアイコンである「SHIBUYA 109」の近く、「道玄坂下」交差点から「文化村通り」と「道玄坂」の一部エリアが車両通行禁止となったことで、まるで大きなフェスティバルのような雰囲気が広がりました。
若者たちが集う「歩行者天国」は、奇しくも渋谷のハロウィンの新しい伝統の始まりになりました。
そして、ハロウィン本番の10月31日は平日であったにも関わらず、JR渋谷駅前のスクランブル交差点やセンター街は、仮装した若者たちで一気ににぎわいを見せました。
それは28日の静かな渋谷とは一変、まるで仮装パラダイスに転生したような。異次元の熱気を湛えていました。
渋谷の取り組みと潜在的な課題
2016年の渋谷ハロウィンは、前年の混乱を教訓に、さまざまな安全対策が実施され、大きなトラブルなく平穏に過ごされた。
各施設の増設や仮設トイレの設置、そしてマナー啓発活動は、多くの参加者と地域住民に向けた事前の準備として計画されました。
スクランブル交差点では警察官の交通誘導が強化され、信号の変わるタイミングでの笛の使用やマイクを使用した声掛けなど、事故を防ぐ取り組みが実施されました。
この結果、昨年には3人が現行犯で逮捕されたのに対し、今年はそのような大きなトラブルは発生しませんでした。
ハロウィンが平日であったことも、人々の参加が分散された要因となったことは間違いありません。しかし、SNS上では、若い女性たちを中心に痴漢被害を訴える投稿が増えていました。
公式の警察統計によれば、昨年に続き今年も痴漢に関連した逮捕者はゼロとされていますが、これが実際の被害の全体像を示しているとは限らないことがわかります。
これは、痴漢被害を公然と訴えることの難しさや、社会的なプレッシャーなど様々な要因から被害者の声が十分に届いてない現状を浮き彫りにしています。
ゴミ問題と取り組みと現状
毎年の課題となっていたハロウィン後のゴミ問題は、一部の地域では前年と比べて改善している様子も見られましたが、全体としてはまだ解決には程遠くゴミの山が目立ちました。
10月29日以降は大量のゴミが散見される一方で、混乱を回避するために早めに閉店する飲食店や、特定の仮装の制限を行う店も出てきました。
10月30日には、キングコング・西野亮廣さんが主催する早朝のゴミ拾い活動が渋谷で開催され、数百人のボランティアが参加しました。
意識の変化
2016年には、ゴミ問題や迷惑行為に対する意識が高まりつつあり、一部の改善の動きが見られました。
しかし、ハロウィンそのものに対する否定的な意見も根強く、より多くの人々がハロウィンを楽しみつつ、その後のゴミ問題や迷惑行為を最小限にするための取り組みが求められました。
ハロウィン参加者の変化
渋谷ハロウィンは2015年をピークに多くの人々が参加して賑わいを見せていました。しかし、2016年から参加者の背景に少し変化が見られるようになりました。
- 地方からの参加者と外国人観光客の増加:2016年以降、ハロウィンの参加者の中で都心の若者や「パリピ」と呼ばれるパーティー好きの層よりも、地方から上京してきた人々や外国からの観光客が目立ち始めました。これは日本のハロウィンの盛り上がりが、年末のカウントダウンと同じく、海外のメディアで取り上げられていたためと考えられます。日本独特のハロウィンの祝い方が、国際的にも注目されるイベントとなっていたのです。
- 仮装のトレンドの変化:ハロウィンと言えば、多くの人々が仮装を楽しむイベントとして知られています。しかし、2016年以降、仮装をする人の割合が減少し、仮装をせずにハロウィンの雰囲気だけを楽しむ人々が増加してきました。これは仮装のハードルやコスト、または日常の中でハロウィンの雰囲気を楽しみたいという人々のニーズが高まってきた結果とも考えられます。
このように、ハロウィンの祭りは年々変化しており、参加する人々の背景や楽しみ方も多様化してきています。これからもハロウィンは日本の文化の一部として、さまざまな形で楽しまれることでしょう。
新たな問題が浮上!(2017年)
2017年の渋谷ハロウィンは、前年やそれ以前のハロウィンをしのぐ盛り上がりを見せました。
特にハロウィン本番の10月31日が平日の火曜日であったため、週末の28日からフライング気味のハロウィン祭りが始まり、渋谷の街は若者で溢れかえりました。
週末の前夜祭と本番
金曜の夜から始まったハロウィンムードは、週末の28日にピークを迎えました。この日、渋谷駅前はまさにパニック状態となり、雨にもかかわらず多くの若者が集まりました。
JR渋谷駅前からスクランブル交差点、センター街にかけては、18時を過ぎても人であふれており、歩道は人の波で埋め尽くされました。
若者たちは魔女、小悪魔、ゾンビなど、様々な仮装を楽しみ、友人や知人との交流の場としてハロウィンを楽しんでいました。
10月31日、本番のハロウィン当日。
この日は好天に恵まれ、その影響もあり渋谷は更に大盛り上がり。日中から始まったハロウィンムードは夜になるとピークを迎え、渋谷全体がハロウィンの祭典と化しました
安全対策の徹底と国際的な対応
近年の海外での車両によるテロ事件を踏まえ、渋谷でも安全対策が強化されました。
昨年までの柵を使用するのではなく、より堅牢な安全対策として機動隊の大型車両を使用してエリアを保護しました。
さらに、多国籍の観光客に対応するため、新しい機器を使い、拡声器で英語、中国語、韓国語でアナウンスしました。
加えて、英語が話せるDJポリスも配置され、外国人観光客への情報提供やサポートを強化しました。
国際的な注目と多世代の楽しみ
渋谷のハロウィンは、年々その認知度が高まり、世界中から観光客が集まるイベントとなっています。特に今年は、外国人の参加者が例年よりも明らかに増加していました。
その理由は以下のように考えられます。
- 独自の魅力:渋谷ハロウィンについて、多くの外国人参加者「クレイジー」と述べており、他の国や地域のハロウィンとは一線を画すスタイルが魅力になっているようです。日本の文化とハロウィン文化が融合し、独自のフェスティバルのような雰囲気が生まれています。
- 情報の普及:インターネットの普及により、観光情報は境界を超えて広がっています。外国人向けの日本の観光サイトやSNSでの情報共有により、渋谷ハロウィンの知名度が向上しています。
- 日本のイメージとのギャップ:日本は世界から「謙虚で慎ましい」というイメージが持たれていますが、その一方で、渋谷のハロウィンは欧米に匹敵する盛大なイベントとなっています。このギャップが、外国人観光客にとっての物珍しさと魅力を増しているようです。
幅広い世代の参加
今年の渋谷ハロウィンは中高年の参加者の増加も見えました。これは、ハロウィンが日本の文化として根付いてきていることの証とも言えます。
「服装は理由にならない」渋谷ハロウィンと痴漢問題
今年も盛り上がる一方で、女性への痴漢という深刻な問題が浮上していました。
ネット上での声を見ると、実際に痴漢に遭遇したという声が多数上がっています。人が密集している場所では、痴漢行為の確認は困難であり、加害者を特定するのは難しいことも多いでしょう。
一方で、痴漢行為を行う加害者側の正当化の根拠として、「痴漢される側も悪い」という意見や、「ハロウィンには過激な服装をしてくる女性もいる」という声が存在しています。
しかしながら、痴漢行為を正当化する理由として、被害者の服装を挙げるのは問題があります。服装、たとえそれがどれほど露出度が高いものであっても、他人の身体に無断で触れる行為を許容する理由にはなりません。
「ハロウィン=痴漢」というイメージが一部には存在するかもしれませんが、それは犯罪行為を容認する理由とはならない。痴漢は、加害者の倫理的な問題であり、被害者の服装や行動は関係ありません。
日本社会全体として、このような問題意識を共有し、ハロウィンを安全に楽しめる場としての文化を築き上げることが求められています。
ゴミの問題への取り組み
今年も数えきれないほどの飲み物の容器や食品の包み、そして使用済みの仮装の衣装など、さまざまなゴミが路上に放置されました。
また、翌朝には多くのボランティアや店舗関係者が早朝からゴミ拾いを始める姿が見受けられましtあ。
今年も翌朝には大量のゴミが放置されていました。店の人やボランティアの人の掃除する姿がありました。
《渋谷ハロウィンの歴史②》犯罪、暴動、パンデミック。渋谷区の挑戦と対策