ニューヨーク市の冬の魔法が始まる季節がやってきました。寒さに包まれた街を彩り、暖かさと希望を届けるため、”Rockefeller Center Christmas Tree(ロックフェラーセンターのクリスマスツリー)”が再びニューヨークの心を躍らせています。
この壮大なツリーは、世界一有名なクリスマスツリーとして、毎年注目され、数百万人の人々を魅了し続けています。
Rockefeller Center Christmas Tree
ロックフェラー・センターのクリスマスツリー
ロックフェラー・センター(Rockefeller Center)は、アメリカ合衆国のニューヨーク市マンハッタンにある有名なビルとエンターテイメント複合施設です。
毎年、ロックフェラー・センターはクリスマスの季節を祝う特別なイベントで有名であり、その象徴的な要素の一つが「ロックフェラー・センターのクリスマスツリー」です。
映画での有名な出演
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーは、その美しさと歴史的な背景から、映画やテレビ番組にも頻繁に登場します。
特に有名なのが、映画『ホームアローン2』(Home Alone 2: Lost in New York)での出演です。
この映画は、マコーレ・カルキンが演じるケビン・マカリスターがクリスマスに一人ぼっちになり、ニューヨークでさまざまな冒険を繰り広げるストーリーです。
映画のクライマックスでは、マコーレ・カルキン演じるケビンがロックフェラーセンターのクリスマスツリーの前で母親と再会を果たす感動的なシーンがあります。
このシーンは多くの観客に感動を与え、クリスマスの季節にぴったりの感動的な瞬間として覚えられています。
点灯式典の魅力
点灯式典自体も、有名人やセレブリティが出演し、美しい花火や音楽パフォーマンスが行われる壮大なイベントです。
数百万人の視聴者がテレビを通じてこのイベントを観賞し、その美しさと感動を共有します。点灯式典の日には、ニューヨーク市の中心部で大勢の人々が集まり、ホリデーシーズンの幕開けを祝います。
世界中からの注目
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーは、ニューヨーク市を代表するクリスマスのシンボルとして、世界中から注目を浴びています。
その壮大な姿と美しいイルミネーションは、クリスマスの魔法を体現し、多くの人々に喜びと希望をもたらします。
ニューヨークを訪れる旅行者にとって、この特別なツリーはクリスマスシーズンを楽しむための必見の観光地となっています。
ロックフェラーセンターって?
ロックフェラーセンター(Rockefeller Center)は、ニューヨーク市マンハッタンに位置する19のビルから成る大規模なビジネスコンプレックスであり、アメリカ合衆国の歴史的ランドマークのひとつです。
このビル群は、ロックフェラー家によって建設され、その歴史と建築的な美しさから多くの人々に愛されています。
建設と歴史
ロックフェラー・センターは、1930年代にジョン・D・ロックフェラー2世によって建設が始まり、1939年にオープンしました。
このプロジェクトは、大恐慌の時期にもかかわらず、雇用を提供し、ニューヨーク市の景気を刺激することを目的としていました。
ビル群はアールデコ様式の建築で知られ、その美しい外観は特にクリスマスシーズンに注目を浴びます。
アメリカ合衆国国定歴史建造物
1987年、ロックフェラー・センターはアメリカ合衆国国立公園局によってアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。
これは、その建築的価値とアメリカの歴史的な重要性を認めたもので、ロックフェラーセンターが国内外から観光客やビジネス関係者を引きつける理由の一つです。
ロックフェラー・プラザと国連加盟国の国旗
ロックフェラー・プラザはロックフェラー・センターの中心に位置し、その背後にはGEビルがそびえています。
このプラザは、特にクリスマスシーズンになると、美しいクリスマスツリーやスケートリンクが設置され、多くの人々が訪れます。
また、ロックフェラー・プラザでは、国連加盟国の200の国旗が誇らしげに掲げられており、国際的な雰囲気を楽しむことができます。なお、祝日にはアメリカ国旗のみが掲げられることが特筆されます。
ロックフェラーセンターはその美しさと多彩なアクティビティで訪れる人々を魅了し、ニューヨーク市のランドマークとして栄え続けています。
ツリーの品種「ノルウェースプルース」
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーに使用される木は、中欧および東ヨーロッパの原産であるノルウェースプルース(Norway Spruce)という品種の木です。
ノルウェースプルースは、その美しい円錐形の形状と長い針葉を特徴とし、クリスマスツリーとして非常に人気があります。
ノルウェー・スプルースの特徴
ノルウェー・スプルースは、クリスマスツリーとして選ばれる理由がいくつかあります。
まず、その外観が非常に立派で美しいため、点灯式典の際に壮観な光景を演出するのに適しています。また、長い針葉は飾りつけを施しやすく、飾りを引き立てます。
さらに、ノルウェー・スプルースはクリスマスツリーとしての耐久性があり、長期間鮮度を保つことができます。
デカすぎる(笑)運び入れるだけでも一大イベント!!
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーの選定と到着は、毎年アメリカ国民が楽しみにしている冬の風物詩になっています。
メリーランド州からのツリー
通常、ニューヨークや周辺の州から供給されることが多いですが、歴史的には様々な場所からのツリーが選ばれてきました。
2021年には90年以上の歴史の中で初めて、メリーランド州からのツリーが選ばれました。
このように、地域によって異なる美しいツリーが提供されることによって、多様性の面でもクリスマスイベントを祝福しています。
メリーランド州からのツリーが選ばれた際には、その州の誇りが感じられ、地元の人々にとっても特別な瞬間となりました。
遠方からの到着
さらに過去には、ロックフェラー・センターのクリスマスツリーは、もっと遠くの州や地域からも選ばれることがあります。
例えば、1998年には、世界最大の輸送機を使用してオハイオ州からツリーが空輸されたことがありました。
このような大規模な輸送は、その壮大なスケールと物語が注目を浴び、クリスマスの祝祭をより特別なものにしています。
到着の儀式
ツリーの選定は、高さ、形、実りの豊かさなどの要因に基づいて行われます。通常、11月初旬に選ばれたツリーが伐採され、トラックに積み込まれてニューヨーク市に向かいます。
ツリーがロックフェラー・センターに到着するのは、大体11月中旬になります。ツリーの到着は多くの観客を魅了し、クリスマスシーズンの幕開けを祝います。
ツリーはクレーンで設置され、その美しさを強調する特別なライティングが行われます。この瞬間は多くの人々にとって、クリスマスの魔法が始まることを示す象徴的な瞬間です。
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーは、その選定から到着までのプロセスも含め、ニューヨーク市と世界中の人々にとって楽しみなイベントとして、長年にわたり愛されているのです。
ツリー調達には専門部隊「ガーデンチーム」が活躍!
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーは、その美しさと特徴的な外観を維持するために、専門のガーデンチームによって選定されます。このガーデンチームは、センター内の緑化を管理し、年間を通じて最高のツリーを見つけ出す使命を担っています。
選定条件
ツリーの選定条件は非常に厳格で、クリスマスツリーとしての品質を保証するために設定されています。条件には次のような要素が含まれます。
- 高さが20メートル以上であること
- 幹の周囲が14メートル以上あること
- 丈夫で悪天候に耐えること
- 数万個ものLEDライトを支えるためにしっかりとした枝振りであること
- 左右対称で形が美しいこと
これらの条件を満たすツリーは、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーとしてふさわしいと見なされます。
ツリーの探索と選定
ツリーの探索は、ガーデンチームの専門家によって行われます。
チームは、飛行機やヘリコプターに乗って空から候補となる木を探し、その後、地上からツリーを詳しく調査します。候補になるツリーを見つけるプロセスは、非常に慎重に行われ、最高の候補が選ばれるまで何度も調査されます。
ツリー探しの情熱
ガーデンチームのスタッフは、ツリー探しを生活の一部として捉えており、一年中いい木がないかを探しています。
時には、友達や家族との交流や旅行中にも、ツリーの候補を探すことがあります。
ヘッドガーデナーを含む6人のスタッフは、30年以上にわたりツリー探しを行っており、最高のツリーを見つけるために情熱を注いでいます。
ツリーは森の中から……。ではなくほとんどが一般家庭の庭から!?
ツリーは、驚くべきことに、ほとんどは一般家庭から寄贈されています。
これらのツリーは、家庭の庭に長年育てられ、大切にされてきたものであり、多くの場合、家族にとって特別な意味を持っています。
これをニューヨークへのクリスマスプレゼントとして無償で提供することは、多くの家庭にとって特別なことであり、ロックフェラー・センターのクリスマスツリーとして選ばれることで、全国的な称賛を受けます。
エコフレンドリーな点灯
また、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーはエコフレンドリーな点灯方法を採用しています。
ツリーに使用される電飾は、センターの屋上に据えられたソーラーパネルから供給される電気で点灯されます。
この取り組みにより、クリスマスシーズン中の毎夜、ツリーは環境にやさしいエネルギー源で輝き続け、持続可能性への配慮が示されています。
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーの歴史と装飾
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーの点灯式の歴史は古く、たくさんの魅力的な要素を持っています。
点灯式と伝統の開始
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式は、1933年に初めて行われました。
当時、RCAビルの前に設置されたツリーは700個のライトで飾られ、この瞬間が始まりとなりました。
この素晴らしいイベントはその後毎年の伝統として受け継がれ、クリスマスのシーズンを彩るものとして愛されています。
第二次世界大戦中の中断
第二次世界大戦中の1942年から1944年まで、ロックフェラー・センターのクリスマスツリーの点灯式は中断されました。
この時期、戦争の影響で多くのリソースが戦争努力に向けられ、クリスマスツリーの点灯は再開されませんでした。
スワロフスキー・スターの登場
2004年には、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの頂上に特別な星が飾られました。
この星(スワロフスキー・スター)は、25,000個のスワロフスキー・クリスタルで作成され、直径約3メートル(10フィート)、重さ約250キログラム(550ポンド)あり、きらめく美しさを持ち、ツリーの頂上で特別な輝きを放っていました。
ダニエル・リベスキンドのデザイン
現在のスワロフスキー・スターは、建築家ダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)によるデザインで、2018年から使用されています。
星には70本のスパイクに300万個以上のクリスタルが取り付けられており、そのきらめきのために星は400キログラム以上の重さがあり、クリスマスツリーに独自の輝きをもたらし、毎年多くの人々に感動を与えています。
最初のツリーは建築現場の労働者たちの手で!
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーの歴史は、1931年に始まりました。
この時期、アメリカは大恐慌と呼ばれる経済危機に見舞われ、多くの人々が経済的な苦難に直面していました。失業率が約20%に達し、国全体が厳しい状況に立ち向かっていました。
ロックフェラー・センターは、1930年に建設が始まり、その建設には多くの労働者が携わりました。
これらの労働者の多くは、ヨーロッパからの移民であり、キリスト教の信仰が深いコミュニティから来ていました。
大恐慌の中でのクリスマス
1931年のクリスマスイブに、アメリカが大恐慌の影響下にある中、ロックフェラー・センターの建設現場で働く労働者たちは特別なクリスマスを迎えました。
経済的に困難な状況にもかかわらず、仕事があること、そして給料を受け取ることに感謝の気持ちを抱きました。
労働者たちは小さなバルサモミの木でクリスマスを祝った
この感謝の気持ちと希望を込めて、建設現場の労働者たちは小さなバルサモミの木を購入し、自分たちで手作りの飾りを使ってクリスマスツリーを飾りました。
紙の飾り物、紐、クランベリー、小さな空き缶など、シンプルでありながら愛情と工夫に満ちた飾り付けが行われました。
自家製の飾りや工夫を凝らした装飾は、限られた資源でもクリスマスの魔法を作り出すことができることを示したのです。
このクリスマスツリーは、労働者たちの感謝の気持ちと共に、将来への希望を象徴していました。
大恐慌の中でも、家族や共同体の結びつき、信仰、希望が労働者たちを支え、クリスマスツリーはその精神を表現する特別な手段となりました。
1933年 公式に点灯式典
この素朴な始まりから、クリスマスツリーは年々成長。1933年には公式に点灯式典が行われ、ロックフェラー・センターのクリスマスツリーの伝統が始まりました。
ホリデーを告げる点灯式は一大イベント!!
ニューヨークは多様な文化と宗教が共存する都市であり、年末の祝日も異なる宗教や文化に基づいて祝われます。
キリスト教のクリスマス(12月25日)、ユダヤ教のハヌカ(ハヌカの日程は年ごとに異なう)など、さまざまな宗教の祝日がニューヨークで祝われています。
また、モスリム(イスラム教)のコミュニティも存在し、彼らの祝日も重要なものです。
この多様性から、ニューヨークでは宗教的な祝日を尊重し、異なる信仰を持つ人々に対して配慮が行われています。
一般的な挨拶として「ハッピーホリデー」という言葉が使用され、異なる宗教や文化を持つ市民に対して、共感と祝福の気持ちを表す習慣が根付いています。
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式は、ホリデーシーズンの世界的なシンボルとして広く認識されています。
このイベントにはニューヨーク市長や有名人が駆けつけ、点灯までのカウントダウンが豪華に行われます。観覧は誰でも無料で可能ですが、その日は大勢の人々が集まるため、混雑に備える必要があります。
点灯式のイベントには、豪華なパフォーマンスライブも開催され、これは日本のテレビで見るようなスーパースターのライブパフォーマンスを無料で楽しむ機会となっています。
過去にはマライヤ・キャリー、ビヨンセ、ジャスティン・ビーバーなどの有名アーティストが出演し、2018年のイベントにはグウェン・ステファニーやアカペラグループのペンタトニックス、他にも多くのアーティストがライブパフォーマンスを披露しました。
この点灯式は、ニューヨーク市内外から多くの人々が訪れ、ホリデーシーズンを祝う特別な瞬間として楽しまれています。
役目を終えたクリスマスツリーはどこへ?
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーは、ライトが消え、ツリーが撤去された後で新たな使命を担います。
ツリーは、アメリカの財団である「ハビタット・フォー・ヒューマニティ(Habitat for Humanity)」の住宅建設プロジェクトに使用される木材として、第二の人生を送ることになります。
「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」
ハビタット・フォー・ヒューマニティは、1976年にアメリカで設立された人道支援団体で、現在は世界70カ国以上で活動しています。
この団体は、住居の建設や修繕を通じて、住む場所を持たない人々や困難な状況にある人々に手を差し伸べ、彼らが安全で健康的な住環境を手に入れ、幸福で豊かに生活できるようサポートしています。
ロックフェラー・センターのクリスマスツリーが毎年ハビタット・フォー・ヒューマニティ(に寄贈されることで、このツリーは新しい住居の建設や修繕に役立ち、困難な状況にある人々や家族に暖かさと希望を提供しています。
この取り組みは、クリスマスツリーがその後も社会的価値を持ち続ける素晴らしい例です。
クリスマスツリーの寄付と家への影響
クリスマスツリーは通常、柔らかい木材でできているため、家の柱などの建築要素としては向いていません。
しかし、その木は天井裏や食器棚などの裏方として重要な役割を果たします。
例えば、家を支える柱には向かないものの、家の一部として再利用され、家族にとって特別な存在となります。
クリスマスツリーの木を使った家に住む人々は、その木がロックフェラー・センターのクリスマスツリーだったことに驚きと感謝の気持ちを抱いています。
この木は子供たちの遊び場として、背を測るための目印として、宿題をする場所として使われ、家庭の一部として新たな役割を果たします。
そして、その木を通じて家にはロックフェラー・センターのクリスマスツリーという歴史が受け継がれます。
このような取り組みは、クリスマスツリーが単なる装飾だけでなく、家庭とコミュニティにおける特別な経験と結びついていることを示しています。
木が新しい人生を歩む一方で、感謝と歴史が共有され、新たな希望が育まれているのです。