【ロスチャイルド陰謀論(2)】我が国にも中央銀行が必要だ…アメリカ合衆国銀行が誕生

今回は、この歴史的な出来事に焦点を当て、アメリカ合衆国通貨制度と「ドル」の誕生に至る過程を詳しく解説していきます。

さらに、中央銀行制度に関する議論やその後の発展についても探求し、アメリカの通貨制度が如何にして成長し、国際的な経済において影響力を持つようになったのかを明らかにしていきます。

【ロスチャイルド陰謀論(1)】通貨発行権を与えよ…アメリカの始まりと“ロスチャイルド”
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本書では、18世紀以降に起こった重大金融事件の黒幕にスポットを当て、彼らの戦略目的や常套手段を分析比較しながら、彼らが将来中国に対して仕掛ける攻撃方法を予測し、中国の採るべき道を探る。(「BOOK」データベースより)

Dollar

アメリカ合衆国通貨制度の確立とドルの誕生

Money

アメリカ独立戦争後、新生国家の経済政策は、一方的なイギリス利益を回避することを主眼に置いていました。この観点から、自国通貨の制定は急務となりました。

その答えが、「ドル」の誕生でした。

アメリカ独立戦争後の通貨問題

1785年に大陸会議が「アメリカ合衆国の通貨単位はドルである」という決議を採択しました。これによりドルは10進法に基づいて細分化され、セントが1ドルの100分の1と定義されることとなりました。

これはアメリカ初の公式通貨制度の確立だったのです。しかし、この新しい通貨システムはすぐには広まりませんでした。

その代わり、当時広く流通していたスペインドルが一般的な通貨単位として使用され続け、その後アメリカドルが鋳造されました。

この事象は、アメリカの建国の歴史が自国通貨であるドルの確立と同時に進行したことを示しています。そして、それは中央銀行制度の設立にもつながっていくのです。

農業から金融へ!アレキサンダー・ハミルトンのアメリカ経済変革

アレキサンダー・ハミルトンは、アメリカ経済が未だ90%農業に依存していた時代に、既に金融立国という未来を見ていました。

ハミルトンは、「政治は、金融センターとしてのニューヨークの発展にとって、邪魔だ」と考えていました。

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ハミルトンの大胆提案!経済発展の鍵は中央銀行と関税

1790年、ハミルトンは財務長官として合衆国銀行の設立を提案しました。

この提案は、英イングランド銀行を模範としたもので、一般市民や民間部門への融資を行い、統一紙幣を供給する銀行の設立を視野に入れていました。

さらにハミルトンは、国立造幣局の設置を主唱し、新興企業の一時的な保護は、競争力のある国家産業の発展を促進すると主張して、関税を支持しました。

一方で、ハミルトンの提案に対し、民間の中央銀行の危険を熟知していたベンジャミン・フランクリンは強硬に反対しました。

ハミルトンはこの新しい金融制度が、国家の主権を損ね、大企業による一部の利権集中を招くと考えたのです。

これらの激しい議論は、新生アメリカの金融体制と、それに伴う経済ビジョンを形成する重要な要素となりました。

これらは、アメリカが独自の中央銀行システムを築くための重要なステップであり、その背景にはアレキサンダー・ハミルトンの影響が見て取れます。

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ジョージ・ワシントン大統領が選んだハミルトンの才能

初代財務長官にアレキサンダー・ハミルトンをに任命したのは、ジョージ・ワシントン大統領でした。

George Washington, 57th & Sandy
ハミルトンの才能がワシントンを支える

ワシントンはハミルトンを非常に能力のある将校であり、難任をも迅速に達成できる人物と高く評価していました。

豊富なアイデアと揺るぎない忠誠心を持ち、自国に奉仕することに全身全霊を捧げるハミルトンは、ワシントンにとって信頼できる存在でした。

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法律の壁を突破!アメリカの通貨発行権を握った中央銀行の誕生

1791年2月25日、ベンジャミン・フランクリンの死後、アレクサンダー・ハミルトンの推進により、アメリカ合衆国第一銀行が設立されました。

アメリカ合衆国憲法第1条によれば、通貨の発行権などは連邦議会が有しているはずでしたが、それにもかかわらず、この新たな中央銀行が設立されることとなりました。

Sankofa International/YouTube

トーマス・ジェファーソンの警鐘!中央銀行がもたらすアメリカの未来への脅威

アメリカ合衆国第一銀行の設立に対しては、全ての者から賛同を得られたわけではありませんでした。

中でも、トーマス・ジェファーソン(第3代アメリカ合衆国大統領)は、この新たな制度に大きな懸念を示しました。

彼は特に、私銀が通貨の発行を掌握することにより、その結果として生じるインフレーションやデフレーションがアメリカ人の生活や財産を脅かす可能性があると危惧しました。

ジェファーソンの見解では、銀行が通貨の発行を無制限にコントロールできることは、富の集中化や個人の財産権の侵害をもたらし、未来の世代の福祉と安全性に脅威をもたらす恐れがありました。

ジェファーソンは、銀行業務は常備軍よりも危険であり、通貨の発行権は銀行から奪い、本来の持ち主である一般の人々に返すべきだと主張しました。

ジェファーソンのこの見解は、アレクサンダー・ハミルトンが推進していた強力な中央政府の構想と大きく対立しました。

ハミルトンの計画は、国立銀行の設立によりビジネス界と政府との強力なパートナーシップを形成し、国家政府を強化することを目指していました。

Thomas Jefferson memorial

金融の支配か、市民の自由か!マディソンとジェファーソンの対立が示す未来像

アメリカ合衆国第四代大統領ジェームズ・マディソンもまた、金融システムを支配する者に権力が集中することによる潜在的な危険性を指摘しました。

マディソンは、歴史を通じて、通貨発行権を保有する者が、その影響力と支配力を維持するために非倫理的な手法や操作的な策略に訴える例が数多くあると認識していました。

マディソンの議論は、金融機関が経済や政治システムに対して過度な制御を行使する際に生じる潜在的な濫用の可能性を示しています。

マディソンは、このような機関がその力を乱用する可能性があると警告し、その結果、市民の自由や生計が危険にさらされることを危惧しました。

こうしたマディソンの見解は、トーマス・ジェファーソンの主張と共通していました。

ジェファーソンもまた、私銀が通貨発行を制御することに懸念を抱き、通貨発行権を銀行から取り戻し、本来の持ち主である人々に返すべきだと主張していました。

これらの懸念にも関わらず、国立銀行の設立は最終的に連邦政府によって1791年に承認され、20年間の特許が与えられました。

これらの見解は、金融機関の力とその潜在的な濫用に対する警戒心を示し、その後の金融政策や規制に影響を与えました。

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金融エリートの陰謀?アメリカ合衆国第一銀行の栄光と終焉

これらの懸念にも関わらず、国立銀行の設立は最終的に連邦政府によって1791年に承認され、議会から20年間の特許が与えられたのです。

この措置は、農業利益に対する商業利益の優位性や連邦政府の権限の不適切な利用として、ジェファーソニアン派からの反対を招きましたが、それでも銀行は設立されました。

銀行の資本は、連邦政府が20%、残りはニューヨークの金融資本家とヨーロッパの国際金融資本家が負担しました。資本金は当初1000万ドルでしたが、1805年までに7000万ドル相当の株式がイギリス人の所有となりました。

この銀行は、ロンドン市およびニューヨークの私銀が所有する中央銀行であるとも言われています。銀行の設立はアメリカ経済に重大な影響を及ぼし、資本主義的な金融構造の基礎を形成しました。

これは、新しい国が世界的な経済権力を持つための重要なステップでした。

しかし、一方で、この中央銀行の設立はまた、国内外の金融エリートと政府との関係を強化し、一部の人々からは警戒の目で見られることになりました。

第一銀行の特許は1811年まで有効であり、その更新について議会で連日議論が重ねらました。

1808年には、銀行の株主が議会に特許状の更新を求める動きを見せましたが、最終的に1811年に、議会は僅かな差で更新を拒否、その結果、合衆国第一銀行は消滅しました。

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