BUSSINESS

この世界のルール『資本主義(6)』── 時代はバブル!日本の“アンダークラス”誕生と格差社会【学校では教えてくれない】

History of Under class

日本での「アンダークラス」の始まり

転載:TBS NEWS/YouTube

バブルの時代

 アンダークラスが増え始めたのは一九八〇年代末のバブル経済期である。バブルを背景に労働需要は増大したが、企業はコスト削減のため、労働力を正規雇用だけではなく、非正規雇用を拡大することによって調達しようとした。

アンダークラスの登場/橋本 健二.ちくま新書.webちくま

「フリーター」の誕生

このため従来は学生アルバイト、パート主婦、定年後の嘱託など、人生の一時期に限定されることの多かった非正規雇用が、新卒の若者たちにまで広がることになった。

アンダークラスの登場/橋本 健二.ちくま新書.webちくま

「当時はまだ日本の未来は明るいと思われていたため、正規雇用を選ばず、アルバイトを選択する若者もいました。彼らは『フリーター』と呼ばれ、『人生を真剣に考えているからこそ就職しない人』『夢の実現のために自由な時間を確保しようと、定職に就かずに頑張っている人』と、華やかで楽観的なイメージでした」(橋本さん)

80年代後半に量産されたフリーターが50代を迎え貧困化するまで/マネーポストWEB

こうして1985年から90年の間に、正規労働者の増加が145万人にとどまったのに対して、非正規労働者は226万人も増加した。男性の非正規労働者も着実に増え、この時期までには男性でもパート・アルバイトの数が、それまで企業で働く男性非正規労働者の典型だった定年後の再雇用を含む嘱託・契約社員の数を上回るようになった。

No.67 2018 年Ⅲ号 私たちが直面している日本の社会問題/電機連合NAVI No67(2018年Ⅲ号)(p.7)

正社員雇用の道を断たれた

転載:TOKYO MX/YouTube

(前略)その後、バブルは崩壊。希望溢れるはずだったフリーターは、正規雇用に移ることができなくなった。

80年代後半に量産されたフリーターが50代を迎え貧困化するまで/マネーポストWEB

日本の企業は中途退職者をあまり採用しないし、その上にフリーター経験者となると、ますます採用されることは難しい。とくに三〇歳代以上となると、脱出は不可能に近くなる。だからフリーターたちは、そのまま年を取って中高年となっていく。

アンダークラスの登場/橋本 健二.ちくま新書.webちくま

いったんフリーターとなった若者たちが、その後になって正社員の地位を得ることは難しい。

新しい階級社会の到来 健康格差 治す政治は/寄稿 橋本健二・早稲田大学教授.全国保険医団体連合会(保団連

非正規労働者は一般に自分の能力を高める機会を持たないことが多くなります。時間とお金をかけ、自分の能力を高めたところで何もリターンがないと考えるからです。企業のほうも、非正規労働者は雇用期間が短く低賃金ですから、わざわざお金をかけて能力開発をする必要がないと考えがちです。

記念講演 新しい階級社会の出現と 高等教育の課題./早稲田大学.人間科学学術院.教授
橋本 健二.全大教HP(p.18)
…年月がたった。

バブル期に社会に出た「フリーター第一世代」は、すでに50歳代。これに続く若者たちを含め、膨大な数の非正規労働者たちの群れが形成されてきた。

新しい階級社会の到来 健康格差 治す政治は/寄稿 橋本健二・早稲田大学教授.全国保険医団体連合会(保団連

こうして日本には、非正規労働者として働く貧困層が、分厚い層をなすようになった。

新しい階級社会の到来 健康格差 治す政治は/寄稿 橋本健二・早稲田大学教授.全国保険医団体連合会(保団連)

そしてこの構造は、社会不安の大きな源泉になっている。

新しい階級社会」とアンダークラス/橋本 健二.季刊・現代の理論

Disparity society

拡大を続ける貧困層

転載:ANNnewsCH/YouTube

かつて非正規労働者は、学生アルバイトや中高年の嘱託のように、人生の一時期の例外的な働き方であるケースを除けば、必要に応じて家計補助的に働くパート主婦が中心だった。ところが近年では、パート主婦と同じような賃金で働く、男性の非正規労働者が激増している。男性雇用者に占めるその比率は、90年代半ばまでは 10%未満だったが、2014年には 21.8%に達した。

アンダークラスと新しい階級社会 /橋本健二.J-Stage(p45)

 「アンダークラスは現時点では、929万人。日本の人口は減少するにもかかわらず、25年には1000万人を超える。アンダークラスの多くは子供を持たず”一代限り”の人が多いはずですが、企業が非正規労働者を求めるため、中間層の子供たちが新たにアンダークラスに流れ込む可能性が高い」と橋本さんは言う。

2025年、「アンダークラス」1000万人超の絶望/柳生 譲治.日経ビジネス.2018

930万人のうち、今の高齢者はあまり不満を持ってないようだ。不満が強いのはフリーター第1世代(バブル経済のとき)で今50歳位の人とこれ以下の人。このままいけばアンダークラスは200~300万人増えるだろう。

第140回・21世紀構想研究会の報告/特定非営利活動法人21世紀構想研究会.2018

誰でもアンダークラスに落ちる可能性

中高年男性も、非正規労働と無縁ではない。貯金や年金収入が十分でないため、あるいは家族の病気などで蓄えを失ったため、定年退職後に職を求める人は多い。そのほとんどが、非正規労働者となる。

新しい階級社会の到来 健康格差 治す政治は/寄稿 橋本健二・早稲田大学教授.全国保険医団体連合会(保団連)

たとえ現在、新中間階級や正規労働者階級に属していても、病気や親の介護などで一度会社を辞めてしまうと、アンダークラスから再出発せざるを得ないケースが少なくない。そして、いったんアンダークラスに転落すると、そこから抜け出すのは容易ではない。

2025年、「アンダークラス」1000万人超の絶望/柳生 譲治.日経ビジネス.2018

将来的な生活保護受給者に……。

転載:ANNnewsCH/YouTube

この人たちの多くが、老後は生活保護に頼らざるを得ず、そのためのコストは非常に大きくなります。

(7ページ目)社会学者の橋本健二氏が説く/日刊ゲンダイDIGITAL

これらの人々の老後を生活保護で支えるとすれば、おそらく数十兆円もの費用がかかるでしょう。

低所得層急増の理由と影響──日本はなぜ「階級社会」へ堕ちたのか?/講談社コミックプラス

(前略)就職氷河期の到来は、2002年までに非正規雇用者と無業者を191.7万人増加させたが、このうち77.4万人が65歳になった時点で生活保護の対象となる。彼ら・彼女らが残りの生涯にわたって生活保護を受け続けたとすると、その費用は17.7兆円から19.3兆円になるという(総合研究開発機構『就職氷河期世代のきわどさ』)。

新しい階級社会」とアンダークラス/橋本 健二.季刊・現代の理論

アンダークラスの切り離しか?

転載:ANNnewsCH/YouTube

低所得のアンダークラスの命を守る最後の砦が切り崩されている。政府は生活保護費のうち食費や光熱費などの生活費分(生活扶助費)を今年10月から段階的に下げ、3年かけて国費を160億円削減する。生活保護世帯の67%が減額になる見通しで、減額幅は最大5%に上る。

切り下げられる生活保護費 -第1特集 連鎖する貧困/みわ よしこ.週刊東洋経済プラス.2018

アンダークラスと名前をつけて、そのように呼びうる層がいるとして、その悲惨さだけを強調していくような手法は、生活保護バッシングのような現象とすぐ共振してしまうでしょう。つまりアンダークラスの人びとは生活保護を受けて、社会のためにならない人たちだ、という言説に容易に結びついてしまうのではないでしょうか。

現実の複雑さに向き合うために――ヤンキーの生活世界
『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』著者、知念渉氏インタビュー
/SYNODOS .2019

社会全体にも悪影響が!?

格差を放置していれば、社会全体にさまざまな弊害が生じる。子どもを持つことができないアンダークラスが人口の一定比率を占めることになるから、少子高齢化も加速する。そればかりか、不平等な社会は貧困層の健康レベルを低下させるだけではなく、他の階級の人々の平均寿命も引き下げられるのだという。

格差を放置するとどうなるか 「新カースト社会」のリスクとは?/亀井洋志.週刊朝日.AERA.dot.
治安の悪化

それだけではありません。大きな格差は対立を生みます。自己責任論をふりかざして叩く人も出てくるでしょうし、それに反発する人も出てくるでしょう。あくまでもごく一部のことですが、貧困状態のお年寄りが万引きその他の罪を犯すことも増えています。

低所得層急増の理由と影響──日本はなぜ「階級社会」へ堕ちたのか?/講談社コミックプラス

務省の報告書では、無差別殺傷事件の犯人の多くが20〜30歳代の若者で、また大部分が無職や非正規労働者などの貧困層だったことが明らかにされています。こういったことが今後増大していく可能性があるのです。

低所得層急増の理由と影響──日本はなぜ「階級社会」へ堕ちたのか?/講談社コミックプラス

 非正規労働者の増加の影響は、社会的に最も弱い部分である子どもに対して影響する。日本は先進国でも子どもの貧困比率が高い国である。相変わらず子ども虐待死の報道が減らないが、これも貧困が原因である。

<江上剛のこの本良かった!>就職氷河期世代のために/東京新聞 TOKYO Web

「格差が拡大すると、人々の間に共感と連帯が失われます。お互い助け合う機会が減って福祉の水準が下がり、精神的ストレスが高まるのです。その結果、豊かな人々も含めて健康状態が悪化し、死亡率が上昇するという研究が定説になっています。経済的苦境から自暴自棄になり、犯罪に駆り立てられる人々も増加します」(橋本氏)

格差を放置するとどうなるか 「新カースト社会」のリスクとは?/亀井洋志.週刊朝日.AERA.dot.

競争の結果は自己責任?

格差は競争の結果だから仕方ない――。自己責任論をベースにしたこの考え方は、この社会では当然と受け止められている。その結果、格差は大きくなりすぎ、弊害も広がった。

日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない/Frontline Press.東洋経済オンライン.2020

フランスのある新聞が「政治的、理論的ブルドーザー」と評したトマ・ピケティの新刊書『21世紀の資本論』は、貧富の格差が開くのは、自由市場資本主義の避けられない結果だとして、左派、右派両方の正説に真っ向から挑んでいる。

資本主義 vs民主主義「資本市場が完全であればあるほど格差は拡大する」/トーマス・エドソール.現代ビジネス

競争すること自体が悪?

日本社会には「競争=悪」という刷り込みさえある。運動会で「徒競走」と呼ばない学校もあるそうだ。「順位をつける競争は教育上よくない」という理由で「かけっこ」と呼ぶ。

競争と公平感 市場経済の本当のメリット 大竹文雄著/東洋経済オンライン.2012
なら競争を止めてみんなで一緒にゴールすれば…

これに対して、社会主義社会がめざす平等は「結果の平等」だ。これはみんなで手をつないでゴールするイメージだから、一見とても穏やかでいいものに見える。でも、強い者の自由を大幅に制限している。

資本主義はどのように生まれたのか?3分で読む「競争社会」誕生の歴史/ダイヤモンド・オンライン
競争=進歩

人間には金銭欲があります。安くて良いものを作れば、どんどん儲かります。そのためには努力を惜しみません。新しい技術を発明したり、新しい市場を開拓したりします。

300年前から振り返る・・・「資本主義経済」とは何か?/南 英世.幻冬舎GOLD ONLINE.2017

競争を避ける人は多いのですが、実は競争にはメリットがあります。競争のおかげで社会はより安い商品、よりよいサービスを享受できるのです。

競争社会を焦らず、自分らしく歩むための本/hontoブックツリー

自由を制限して平等にするべき?

競争が生み出す格差社会の行き着く先を私は世界で見てきました。だからといって、社会を平等にすべきという主張もできません。

経済発展には「競争」と「平等」のバランスこそが大切だと考えた世界の事例/GIGAZINE

資本主義なら「資本家」が悪い?

資産家が半ば強権的にお金を巻き上げているのであれば、政治の力でこれを抑制するという解決策があり得る。しかし現実には、資本主義の仕組みそのものが、富裕層に有利なように出来ており、格差の拡大は構造的な要因が大きい。このため格差拡大を解決する方法も、そう簡単には見つからないことがほとんどである。

なぜ経済成長が進んでも「貧富の差」はなくならないのか?/加谷 珪一.幻冬舎ゴールドオンライン.2020

最近になって、現在の資本主義には限界がきている、とする指摘が多くなってきた。確かに、これまでの資本主義社会は限界に近づいているかもしれない。大きな時代の流れの中で、格差をどう捉えていくのかを考える必要があるのかもしれない。

日本がはまり込んだ深刻な「貧富格差」の現実/岩崎 博充.東洋経済オンライン.2019