
この世界のルール『資本主義(10)』──裕福な国は貧しい国にゴミを押し付け始めた【学校では教えてくれない】
Export garbage
裕福な国は貧しい国にゴミを押し付け始めた
これまで世界では、とりわけ豊かな国が、環境保護の美辞麗句とは裏腹に、貧しい国にごみを持ち出してきた。
「世界最大のごみ捨て場」中国の終焉ー日本のプラスチックごみはどこへいく/六辻彰二.Yahoo!ニュース
環境規制の厳しい先進国では、ごみ処分にともなうコストも高くなりやすい。これは安価にごみを引き取り、規制の緩い開発途上国に持ち出して処分する「ごみの輸出」を促す土壌になってきた。
「世界最大のごみ捨て場」中国の終焉ー日本のプラスチックごみはどこへいく/六辻彰二.Yahoo!ニュース
世界的に増加し続けるプラスチックのゴミ
プラスチックごみは、ペットボトルやレジ袋のほか、家電、車、建築資材などさまざまなプラスチック製品の廃棄により発生するごみ。
2019年3月7日ニュース「プラスチックごみ、国内で行き場失う恐れ 中国の輸入規制が契機とIGESが分析・提言」/SciencePortal.2019
そもそもプラスチックは軽くて丈夫で加工しやすいことなどから世界中で爆発的に使用量が増えていますが、これに伴いいくつもの問題も出てきました。例えばまず石油資源を大量に消費して作られること。そしてプラごみを焼却すれば二酸化炭素が増え地球温暖化につながること。一方で燃やさず投棄すれば海洋プラスチック汚染にもつながります。
「プラスチックはどこへ行く?」(時論公論)/土屋 敏之.NHK 解説委員室.2019
日本もゴミを輸出している
日本国内では年間約900万トンのプラごみが発生している。有効利用率は8割を超えるとされるが、焼却時の熱回収やリサイクル名目での海外輸出に依存してきたのが実情だ。
プラごみの輸出入規制 使用量減らす対策促進を/毎日新聞.2019
2019年は約90万トンが海外に「リサイクル資源」として輸出された。現在は規制がなく、環境汚染を引き起こすケースもあると指摘されている。
環境省、プラごみ輸出規制案 裁断など加工、洗浄条件に/SankeiBiz.2020
輸出されている廃プラスチックは必ずしも、リサイクルできるような良好な状態とは言えず、輸出先でごみとして山積している。
日本における廃プラスチックに関わる現況と新しいビジネスの可能性/藤居枝里.日本総研.2020
世界最大のゴミ輸入国
中国は1980年代以降、日本や欧米、欧州などの国から廃プラスチックや古紙などの資源ごみを大量に輸入し、中国国内で分別・加工して、新たな製品の原料として再利用してきました。
中国の廃プラ輸入規制(1) 〜背景と概要〜 | なるほど話/DOWAエコジャーナル
プラスチックゴミ
国連の統計によると、1988年〜2016年に中国が輸入したプラスチックごみは計2.2億トンで世界全体の約7割を占めていた(後略)
プラスチックのリサイクルは何が問題?日本の現状や対策とは/gooddoマガジン
貿易統計では、中国へ輸出可能だった2017年の日本の廃プラ輸出数量は、年間約140万トンだった。
「コロナ後、また処理場はひっ迫する」中国へ輸出できなくなったプラごみの行方
/Gyoppy!.Yahoo! JAPAN.2020
もうゴミはいらない!
中国は世界中から資源ごみを輸入してリサイクルする「世界のごみ箱」となっていたが、環境への悪影響などを理由に、2018年から24品目の廃棄物の輸入を禁止した。
中国ごみ禁輸から2年、世界への影響は? リサイクルの現状と問題点/NewSphere.2020
「リサイクルデータブック2019」によると、再生資源として日本から輸出される中で最も輸出量が多いのは鉄鋼スラグで、全体の4割弱を占めています。次いで鉄鋼のくず、古紙、プラスチックが多く輸出されています。
海外へ輸出される廃棄物等の量と内訳、輸出の課題とは?/おしえて!アミタさん.2019
さらに拡散されるゴミ
慌てた先進諸国は、急場しのぎで輸出先を東南アジア諸国に変更した。おかげでマレーシアやベトナム、タイ、インドネシアにはプラごみの洪水が押し寄せ、環境にも住民にも深刻な被害が出ている。
先進諸国のごみの受け入れを拒否する東南アジア/マゲシュワリ・サンガラリンガム、サム・コッサー(NGO「フレンズ・オブ・ジ・アース」).NEWSWEEK.2019
しかし、それらの中には資源回収が可能なものではなく、使用済紙おむつや廃プラなど、回収が難しいものが混在したものも少なくない。
インドネシアも廃プラ輸入禁止へ。昨年初めの中国の禁輸で、日本を含む先進国からASEAN諸国に殺到。「国内のゴミ問題koをあるのに、どうして他国のゴミを輸入できるのか」と批判(各紙)/一般社団法人環境金融研究機構
各国・地域への輸出量は、マレーシアが26万2,000トン、台湾が15万2,000トン、ベトナムが11万7,000トン、タイが10万2,000トンだった。マレーシアは前年に続いて最大の輸出先となり、2019年の日本の輸出総量に占める割合は30%近くに達した。
2019年の日本の廃プラ輸出量は90万トン、100万トン割れは2004年以来/ジェトロ(日本貿易振興機構).2020
ゴミで埋まった村
ベトナムの首都ハノイから車で1時間の場所にあるミンカイ村は、世界中から集まったプラスチックごみに埋もれています。
プラスチックごみに埋もれた村 日本から違法輸入も/テレ朝news.テレビ朝日.2019
(前略)2017 年末の中国のプラスチックごみ輸入禁止以降,ベトナムのプラス チックごみ量は急増した.2018 年の最初の 6 か 月,ベトナムにごみを最も輸出した国は日本であ り,総量は約 410 万トンであった(プラスチック, 紙,鉄鋼を含む).
中国による廃プラスチック輸入禁止後のベトナムにおける現状と課題/山本雅資.環境経済・政策研究 Vol. 12, No. 2 (2019.9)(p.62)
日本の廃棄物処理専門家はリサイクル村について「住民の健康被害や環境汚染が懸念される」とする一方、「このような受け皿があるからこそ、ベトナムではリサイクル資源が資源として流通することが可能になる。なければごみが増えてしまう」と指摘した。
ベトナム 発展支える「リサイクル村」 新興国の発展を支えるも、健康被害など負の側面 (1/2ページ)/SankeiBiz.2017
違法なケースが続出
ところで、集められるプラスチックの中には、日本から違法に輸入されているプラスチックごみもあるといいます。リサイクルできない不純物を2%含むものは違法という中、分別されず汚いゴミのままのものも
廃プラの行き着くところ/環境編 :浄水器のアクアス総研
インターポールが加盟国の捜査情報などをもとに、プラスチックごみに関する犯罪を調べたところ、おととし以降、違法な輸出や受け入れが急増していることが分かりました。
プラごみ 違法輸出など国際犯罪が急増 中国の受け入れ規制で/NHK.2020
ついにゴミを返却
東南アジアで先進国から運ばれたプラスチックごみを強制的に送り返す動きが相次いでいる。これまで最大の受け入れ国だった中国が規制強化にかじを切った結果、日本を含む世界から廃棄物が東南アジアに押し寄せたからだ。
東南アジアにプラごみ殺到 先進国に“送り返す”/産経ニュース.2019
マレーシアは、「世界のごみ捨て場」ではないとして、13の富裕国に3737トンのプラスチックごみを送り返したと発表した。
アジアは世界のごみ捨て場ではない…マレーシアが3737トンのプラスチックごみを強制送還/Bill Bostock.Business Insider Japan.2020
不正にプラごみ輸入が急増したマレーシアでは、十分な処理施設がなく、単純燃焼によって各地で大気汚染の深刻化するなどの弊害が発生した。これまでに送り返された廃プラごみは、国内の200以上の工場に不正に持ち込まれたものを回収した。
マレーシア、日本などから不正輸入された廃プラごみ満載のコンテナ150個分を輸出国13か国に返送。追加で110個分を今年半ばまでに返送(RIEF)/一般社団法人環境金融研究機構.2020
日本&ノルウェー:もうそんなことはやめよう
スイスのジュネーブで5月に開かれたバーゼル条約の国際会議は、汚れた廃プラを条約の規制対象にすることに決めた。ノルウェーが初めに提案し、賛同した日本が共同提案に回り、議論の末に各国で合意した。
汚れた廃プラの輸出入を規制/朝日小学生新聞.2019
ゴミの押し付けが困難に…
プラスチックの大量消費国が、その廃棄物を他国に押しつけることが今後、難しくなる。
汚れたプラスチックごみの輸出規制、動揺する米国バーゼル条約改正に締約国が合意、批准していない米国にも実質的な影響/ナショナルジオグラフィック.2019
自分の国でなんとかしよう!
環境省は国内で発生するプラスチックごみの全量を原則国内で処理できるように体制を見直す。日本は年約100万トンのプラごみを輸出しているが、5月にまとまった国際的な規制で2021年から輸出できなくなる
環境省、プラごみ全量を国内処理する方針/THINK WASTE.2019
日本を含めた締約国は、プラごみの発生量削減だけでなく、国内でのリサイクル処理能力の強化など、国内で循環させていくことが求められます。
海洋プラごみ対策が世界で加速!日本も対応策/松本 真由美.NPO法人 国際環境経済研究所.月刊ビジネスアイ エネコ」2019年7月号
紙面【総合】有害廃棄物の輸出入を制限する「バーゼル条約」の締約国会議は、汚れた廃プラスチックを規制の対象に加える改正条約を採択した。廃プラスチックの国内処理を増やすことが急務。ほか 詳しくは本日(5月12日付)東京新聞朝刊にて pic.twitter.com/kd78GdfCkz
— 東京新聞ほっとWeb オフィシャル (@tokyohotweb) May 11, 2019
https://t.co/vwnJCSCujD 有害廃棄物の国境を越えた移動を規制する #バーゼル条約 に、汚れた廃プラスチックを加えることが決まりました。背景には、#プラスチックごみ の海洋汚染問題などがあります。フォトギャラリーでどうぞ。(諫) #マイクロプラスチック #plasticgarbage pic.twitter.com/rJdrgzyd6l
— 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) May 20, 2019
ちなみにアメリカは拒否
ただし、アメリカはこの条約を批准していない。
アジアは世界のごみ捨て場ではない…マレーシアが3737トンのプラスチックごみを強制送還/Bill Bostock.Business Insider Japan.2020
廃プラの世界最大の輸出元は欧州連合(EU)だが、単一国としての輸出量が最も多いのは米国である。
汚れたプラスチックごみの輸出規制、動揺する米国/ナショナルジオグラフィック.2019