
「大量生産と大量消費が生み出したのは“大量のゴミ”」この世界のルール資本主義(9)
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Mass disposal
大量生産・大量消費の裏に大量廃棄
20世紀は大量生産、大量消費、大量廃棄の時代であり、様々な産業が急速に発展しました。特に、工業技術や農業技術の進歩によって、食糧生産や製造業が大幅に増加し、人々の生活が豊かになりました。
新商品を売るために手持ちの物を捨てさせる
大量生産社会・大量消費社会・大量廃棄社会において、新商品を売り出すために手持ちの商品を捨てさせることは、特徴の1つです。
大量生産によって、製品のコストが下がり、価格競争力が高まるため、一般消費者にとっては手軽に入手できる商品が増えました。しかし、このような商品は耐久性が低く、修理やメンテナンスが困難で、短期間で使い捨てることが前提となっています。
企業の利益のために必要
企業は生産した商品が販売されなければ、利益を上げることができません。より多くの利益を上げるには、より多くの商品を販売することが必要であり、そのためには大量生産が必要でした。
資本主義の中で企業は生き残るために利益追求!
資本主義経済においては、企業が利潤を最大化することが最も重要視されます。そのため、大量生産・大量消費・大量廃棄というサイクルが生まれてしまいました。
“国が発展”するために必要だった……。
大量生産は大量消費のがあって初めて機能するシステムである、
一般大衆の物欲を煽り、その一方では、増加していく人口維持のために必要不可欠な要素でした。
大量の製品が出回り、新商品が出れば廃棄。本当は生きるために不必要なものでさえ、欲望のおもむくまま売買される消費社会によって、20世紀の私たちの経済は発展を遂げてきました。
その結果、地球の汚染が始まった…。
この消費社会は環境問題や資源枯渇、廃棄物の増加などの負の側面をもたらしました。大量生産と大量消費によって生まれる大量廃棄物は、自然環境に深刻な影響を与え、地球温暖化や環境破壊などの問題を引き起こしました。
公害問題
1970年代には、公害が深刻な問題となり、大気汚染や水の汚染が広がりました。また、食品添加物による健康被害も問題となり、石油ショックによって石油資源の枯渇が現実のものとなりました。
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都会のゴミを遠く地方の自然の中に不法投棄
1990年代以降には、焼却炉からのダイオキシンの発生や最終処分場の不足、不法投棄による環境汚染が顕在化し、大量廃棄社会がもたらす問題が浮き彫りになってきました。
ゴミ問題が深刻になる中、特に日本の大都市である東京や大阪などでは、江東区の埋立地にある「夢の島」などに東京23区から排出されたごみの大半が運ばれていましたが、このような処分場が将来満杯になるとの危惧されました。
バブル経済の時代には、消費が拡大し、一人あたりのごみ量も増加しました。また、産業廃棄物も増加し、処分場が不足するようになりました。そのため、地方に産業廃棄物を押し付けたり、不法投棄が増加したりする事態が起きました
2000年頃には、日本全国で大規模な産業廃棄物の不法投棄が発覚した。その代表的な事件として、瀬戸内海の豊島における不法投棄事件、福島県いわき市(四倉町)の不適正保管の事件、青森・岩手県境産業廃棄物不法投棄事件などが挙げられる。
ついにゴミは地球を覆い尽くし始めた
消費社会によって、必要ではないものや短命な製品が多く作られ、多くの人々がそれらを買っては使い捨ててを繰り返してきました。経済が支えられている裏側で、大量廃棄物やプラスチックゴミなどが、土に戻ることなく、地球を覆い尽くしはじめています。
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