「日本はバブル時代!広がる格差とアンダークラスの誕生」この世界のルール資本主義(6)

「日本はバブル時代!広がる格差とアンダークラスの誕生」この世界のルール資本主義(6)

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「労働者階級のさらに下!最下層“アンダークラス”」この世界のルール資本主義(5)
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就業人口の15%が平均年収186万円。この階級の人々はどのように生きているのか? 若年・中年、女性、高齢者とケースにあわせ、その実態を明らかにする。(「Books」出版書誌データベースより)

History of Under class

日本の「アンダークラス」の始まり

TBS NEWS/YouTube

日本の「アンダークラス」の始まりは明確に定義されているわけではありませんが、一般的には江戸時代末期から明治時代初期にかけて、農村から都市への人口移動が急速に進み、都市部において社会的に弱い立場に置かれた人々が増加したことが、アンダークラスの始まりとされています。

明治時代以降も、貧困層や労働者階級、雇用されていない者、非正規雇用労働者など、社会的弱者の存在は続いています。ただし、近年では格差が拡大する中で、新たなアンダークラスの形成が指摘されるようになっています。

増え始めたきっかけはバブル

Lyle Hiroshi Saxon/YouTube

アンダークラスが増え始めたのは、1980年代末のバブル経済期からとされています。

金が溢れて笑いが止まらない!?

「バブル」とは、一定の経済的繁栄が続く中で、経済や株価、不動産などの市場価格が異常に高騰し、過剰投資や消費が行われる状態を指します。

アンダークラスが増え始めたのは、1980年代末のバブル経済期からとされています。

狂気!?金が溢れて笑いが止まらない時代

「バブル」とは、一定の経済的繁栄が続く中で、経済や株価、不動産などの市場価格が異常に高騰し、過剰投資や消費が行われる状態を指します。

1990年代のブーム時代、高級住宅や高級車、高額のゴルフ会員権などが飛ぶように売れ、豪華なテーマパークが日本各地に開業し、スキーブームが起きてゲレンデはお祭りのような混雑ぶりでした。クリスマスには、大学生カップルでさえも赤坂の高級ホテルでデートし、高級ブランドのアクセサリーが飛ぶように売れ、接待交際費も大盤振る舞い、高級レストランは連日満席で、1万円札を振ってタクシーを止め、接待の帰りはタクシーチケットを渡して自宅まで送り届けるなど、空前の繁栄が日本を襲っていました。

さらにこの時代は、それまで貧しい生活を送っていた人々にも一時的な富が訪れました。

労働需要の増加!コスト削減のため企業は非正規雇用を拡大

バブル期には経済成長に伴い、企業は需要に応じて労働力を増やす必要がありましたが、同時に競争が激化したことでコスト削減の必要性も高まりました。そのため、正規雇用に比べて人件費が安い非正規雇用を拡大する企業が増えました。

あえて非正規雇用を選んだ若者たち「フリーター」の誕生

その結果、従来は学生アルバイト、パート主婦、定年後の嘱託など、人生の一時期に限定されることの多かった非正規雇用が、新卒の若者たちにまで広がることになった、

このような若者たちは「フリーター」と呼ばれるようになりました。当初は自由な時間を確保するために働く若者たちに対して、肯定的なイメージがありました。

パート・アルバイトの非正規労働者が増加

1985年から90年の間、正規労働者の増加は145万人と控えめでしたが、非正規労働者は226万人も増えました。そのうち、男性の非正規労働者も増加し、企業で働く男性非正規労働者の典型だった定年後の再雇用を含め、パート・アルバイトの数が嘱託・契約社員の数を上回るようになりました。

バブルがはじけると、フリーターは正社員への道が閉ざされた

TOKYO MX/YouTube

バブル崩壊以降、景気は低迷し、企業はコスト削減のために非正規雇用の拡大を進め、正社員の採用数は減っていきました。そのため、フリーターから正社員に転身することは難しくなり、彼らは非正規雇用のままで働くことが多くなりました。

非正規雇用の問題が浮き彫りに

このように、バブル経済の崩壊は、日本の労働市場に大きな影響を与え、非正規雇用の増加や長期的な雇用不安の問題が生じる原因となりました

自分のスキルを上げるチャンスが少ない

非正規労働者は一般的にスキルアップする機会を持つことが少ないと考えられており、その理由の1つとして、時間と金をかスキルアップしたところで、特にメリットがないと考えているからだと言われています。

企業側も育てるメリットがない

また、企業側からしても、雇用期間が短く低賃金なので、わざわざお金をかけて能力開発をする必要がないと考えてしまう。

職場が安定せず転職を繰り返しのでキャリア形成が不可能

非正規労働者は安定した職場環境がなく、転職を余儀なくされることが多いため、長期的なキャリア形成ができないという問題もあります。そのため、正社員として働くことができないまま、一生涯にわたって非正規雇用で働き続ける人も少なくありません。これらの問題は、フリーター問題や非正規雇用問題として社会問題となっています。

中途退職者、フリーター経験者を、日本の企業は率先して正社員雇用しない。とくに30代以上になると、その場所からの脱出は不可能に近くなっていく。

かつてのフリーターたちは年老い“巨大な貧困層”を形成

かつて自由な若者だったフリーターたちは、そのまま年を取って中高年になっていった。

バブル時代のフリーター第一世代は50歳代をむかえ、さらに続く若者たちが含まれた結果、非正規労働者として働く分厚い貧困層が作られてしまった。

その数は約400万人に上り、日本の労働力の3割を占めるようになっています。彼らは、正規雇用者と比べて年収が低く、福利厚生も充実していません。また、雇用期間が短く、定年後の生活が不安定になる可能性も高いため、将来に対する不安を抱えています。

これが今の社会不安の大きな源泉になっている。

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社会階層研究の第一人者による最新作。就職氷河期世代に焦点を当てながら、格差が広がる日本社会に何が起こるか今後10年を大胆予測。(「Books」出版書誌データベースより)

Disparity society

そして今、拡大を続ける貧困層

ANNnewsCH/YouTube

90年代半ばまでは、非正規労働者は家計補助的なパート主婦が中心であり、男性の非正規労働者は10%未満でしたが、近年では、学生アルバイトや中高年の嘱託を除けば、その比率は2014年までに21.8%にも達しました。

『アンダークラス』

ANNnewsCH/YouTube

アンダークラスは2018年時点では、約930万人。そのうち、不満が強いのはバブル時代のフリーター第1世代で今50歳位の人とこれ以下の人。アンダークラウスこのままいけば200~300万人増加、25年には1000万人を超えると予想されています。

「アンダークラスの多くは子供を持たず”一代限り”の人が多いはずが、企業が非正規労働者を求めるため、中間層の子供たちが新たにアンダークラスに流れ込む可能性が高い」と橋本教授(早稲田大学人間科学学術院 )は言っている。

他人事じゃない!?誰もがアンダークラスになる可能性

今や、普通の中高年男性も非正規労働者になることがある。

その理由として、貯金や年金収入が不足していたり、家族の病気などにより貯蓄を失い、定年退職後に職を求める人が増えていることがあげられる。

一度定年退職した後でも、再雇用制度を活用して企業に復帰することもありますが、その場合にも正規雇用よりも非正規雇用が選ばれることが多いとされています。これは、中高年男性が再就職しやすい職種が非正規雇用であることが多く、企業側も高齢者雇用に対する不安やコスト面の問題から、非正規雇用を選択することが多いためと考えられます。

新中間階級や正規労働者階級に属していても、病気や親の介護などで一度会社を辞めてしまうと、アンダークラスから再出発しなければいけないケースは少ないくない。

巨大なコスト!?アンダークラスは将来的な「生活保護受給者」予備軍

ANNnewsCH/YouTube

アンダークラスの多くが、老後は生活保護を受けざるを得ない状況にあるとされています。就職氷河期の影響により非正規雇用者や無業者が増加した結果、老後に生活保護を受けることになる人々も増えることが予想されています。その費用は膨大なものとなり、一説にはその費用は17.7兆円から19.3兆円になるといわれている。

【無慈悲】アンダークラスの切り離しか……?

生活保護はアンダークラスの命を守る命綱だが、日本政府が2018年10月から3年かけて行うこととした、生活保護費のうち、食費や光熱費などの生活費分(生活扶助費)を段階的に減額し、国費を160億円削減することを決定した。最大で5%の減額幅となる見込みで、67%の生活保護世帯が影響を受けることになった。

格差はいずれ社会全体に悪影響を及ぼす

毎日新聞/YouTube

このまま格差を放置し続ければ、日本社会にさまざまな弊害を生じさせることになります。

アンダークラスが増えると、結婚や出産を諦めざるを得ない若者が増えるため、出生率が低下することが懸念されます。

アンダークラスのの人々が十分な医療を受けられなかったり、健康的な食事ができなかったりすることがあります。また、ストレスや不安によって精神的な問題を抱えることも多いです。これらの健康問題は、結果的に医療費の増加や生産性の低下につながる可能性があります。また、社会的な不平等が広がることで、社会の信頼感が低下し、社会の安定性や経済成長にも悪影響をおよぼす可能性があります。

また、高齢化社会においては、アンダークラスに属する高齢者の貧困が深刻化することで、年金や医療保険など社会保障制度の負担も増えることになります。

格差は犯罪を誘発する

犯罪率の増加にもつながると言います。過酷なアンダークラスで生活している人々が、自分たちの生活を維持するためには、時に違法行為に訴えざるを得ないと感じることがあるためです。一部の話ですが、貧困の高齢者が万引きその他の罪を犯すことも増えてきています。

非正規労働者の増加が、日本の子どもに対して影響を及ぼす可能性があることが、法務省の報告書から明らかになっています。その中で無差別殺傷事件の犯人の多くが20〜30歳代の若者、貧困層(無職や非正規労働者)であることが示されています。日本は先進国であるにもかかわらず、子どもの貧困比率が高い国であり、子ども虐待死も減少していない。

自己責任論だけではもはやどうにもならない?

「格差は資本主義社会における競争の結果だから」このような自己責任論の考え方は、一般的に多く受け止められているが、その結果、格差は大きくなりすぎて、アンダークラスの人々が生活の基盤を失ってしまうことにもつながっています。

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それなら、競争をやめればいいのでは?

日本社会には「競争=悪」という考え方が存在する傾向があります。例えば、学校の運動会での徒競走を「かけっこ」と呼ぶ学校があることからも分かるように、順位をつける競争を避ける風潮があるといえます。また、企業でも「個人の競争は禁止」という社風がある場合があり、協調性を重んじる文化が根強く残っています。

競争を止めみんなで一緒にゴールする = 自由の制限

社会主義社会がめざす平等は「結果の平等」と言われています。これは、社会のある一定の基準に合わない人々を支援するために、強い者から取り上げ、弱い者に分配することで、平等を実現するという考え方です。

つまり、個人の自由を制限、かけっこで順位をつけず、みんなで手を繋いでゴールをするような感じです。

競争がないと人は努力をせずにどんどん衰退

しかし、この考え方には、強い者の自由を大幅に制限することが必要であるという問題もあります。また、

競争の切磋琢磨によって社会が発展

競争は、商品やサービスの質や価格の向上を促し、消費者にとっては利益をもたらします。

競争によって、企業はより効率的に生産し、より高品質な製品やサービスを提供する必要があります。その結果、価格が下がったり、製品やサービスの品質が向上したりすることがあります。また、競争はイノベーションを促進し、新しい技術やビジネスモデルを生み出すこともあります。そのようなイノベーションは、社会や経済の発展につながることがあります。

格差は「資本家(お金持ち)」が悪い?

経済格差は、単純にお金持ちや資本家のせいだけではありません

アンダークラスが存在するのは、社会構造や政策、個人の選択など多くの要因が重なっているため、単純にお金持ちや資本家のせいだけではありません。例えば、非正規雇用を選んだ人もいますし、教育の不足や偏差値主義などの影響で就職が難しくなった人もいます。また、政策の問題としては、労働法制度や税制の不公平性、格差拡大につながるグローバル化などが挙げられます。

お金持ちや資本家が経済格差を拡大する原因の一つではありますが、必ずしも全ての原因ではありません。

解決策は見つかっていない

格差の拡大は様々な要因が絡み合っているため、単純な解決策は存在しません。政治的な解決策や経済的な取り組みが必要とされますが、それらには様々な利害関係や意見の相違があるため、容易には実現できないでしょう。また、社会全体の価値観や文化も格差問題に影響を与えていることも忘れてはいけません。ですが、そのような困難な状況であっても、私たち一人ひとりが、少しでもその問題に向き合い、解決するための取り組みを行うことが重要です。

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