アントワープは、世界的なダイヤモンド取引の中心地として知られ、ダイヤモンドの原石からカットや研磨、販売までの一連の流れがアントワープに集積され、その品質は世界中で高く評価されています。
また、アントワープのダイヤモンド街では、観光客たちがさまざまな価格帯のダイヤモンド製品を取り揃えたショップを巡り、ショッピングを楽しんでいます。
世界一のダイヤモンド・シティ「アントワープ」を徹底解説!(1)
Diamond city of Antwerp
光の輝き、ダイヤモンドの都アントワープの物語
アントワープは、その長い歴史と緻密な取引システムから、世界的なダイヤモンド取引の中心地として、今もなお重要な役割を担っています。
アントワープのダイヤモンド取引所には、毎日多数のダイヤモンドが取引され、その多くは高品質のものとされています。
世界8割以上のダイヤが集まる!
アントワープに集まるダイヤモンドの量は世界中の85%にも上ると言われています。アントワープは、世界的に有名なダイヤモンド取引の中心地であり、その取引高は、一日平均で約2億ドル(約220億円)にも上ると言われています。
また、ダイヤモンド加工技術や品質管理技術の発展も盛んであり、アントワープは、世界的なダイヤモンド産業の発展に貢献しています。
世界にあるダイヤの取引所の25%はこの街に存在する!
世界のダイヤモンド取引所の中でも、アントワープには4つの取引所が存在しており、世界16か所のダイヤモンド取引所のうち約25%がアントワープに集中しています。
ダイヤの原石の取引所は世界でココだけ!
ココには原石専門のダイヤモンド取引所である「アントワープ・ダイヤモンド・バース」があります。
原石の多くはロシア、アフリカ諸国、オーストラリア、カナダなどから産出され、サイトホルダーと呼ばれる特定の企業が現地で買い付けを行い、アントワープに取引所に集まってきます。
その後、ダイヤモンドの品質や重量、形状、色などを評価して取引が行われています。
アントワープ・ダイヤモンド・バースは、アントワープが世界的なダイヤモンド産業の中心地として認知されることに大きく貢献しています。
この取引所はアントワープにしかない独自の存在であり、ダイヤモンド産業の重要性を証明しています。
研磨・カットされた後に再びアントワープに戻る
一方、ダイヤモンドのカットや研磨は、主にインド、中国、イスラエルなどの研磨地で行われます。研磨済みのダイヤモンドは再びアントワープに戻り、ここで売買が行われます。
このように、アントワープはダイヤモンド産業の中心地であり、原石からカットや研磨、販売までの一連のプロセスが集積されています。
超ハイレベル!アントワープのダイヤモンドカット職人たち
この街には、凄腕研磨職人が多く住んでいることでも有名です。
アストラリスダイヤモンドやハート&キューピットの研磨技術を生み出したガビ・S・トルコフスキーやフィリッペンス・ベルトなどは、アントワープのダイヤモンドカッターとして世界的に有名な人物です。
彼らの研磨技術によって、より美しく輝くダイヤモンドが生み出され、多くの人々から愛されるようになりました。
アントワープには、こうしたダイヤモンドカッターたちが数多く存在しており、ダイヤモンドの品質を高めるための技術開発が続けられています。
アントワープカット
18世紀には、アントワープの研磨師たちがダイヤモンドの輝きを最も美しく引き立たせるカット技法を考案し、それが「アントワープカット」と呼ばれるようになりました。
このカット技法は、他のカットと比べてダイヤモンドの輝きや輝度が非常に高く、美しさを際立たせることができます。
過去には専門学校も!
アントワープにはかつて、ダイヤモンド研磨の専門学校が存在していました。
この学校は、世界中から多くの学生を集め、ダイヤモンドのカットや研磨技術を教えるために設立されたもので、アントワープのダイヤモンド産業の発展に大きく貢献した評価されています。。
現在では、この専門学校はなくなってしまいましたが、アントワープには多くのダイヤモンドのカッターや研磨師が在籍しており、ダイヤモンドの品質を高めるための技術開発が行われています。
この街のダイヤモンドは「宝石の王様」と言われている
アントワープの職人たちは、世界各国から集まった良質なダイヤモンドの原石を独自の高度な技術で研磨することによって、非常に高品質なダイヤモンドを生み出しています。
その品質の高さは、世界中で高く評価され、ベルギーのダイヤは「「宝石の王様」と称されるほどです。
ダイヤモンドの超有名カット「ラウンド・ブリリアントカット」
現在におけるダイヤモンドカットの代名詞とも言える「ラウンド・ブリリアントカット」は、実はアントワープで生まれたものです。
1920年代に、ベルギー人のマルセル・トールキエンが、ダイヤモンドを最大限に光り輝かせるためのカットを考案しました。
そのカットが後に「ラウンド・ブリリアントカット」と呼ばれ、現在でもダイヤモンドのカットの中で最も人気が高いもののひとつとして広く知られています。
この地域は超厳重な監視体制に審査体制でダイヤを守護
多くのダイヤモンド関連会社が集まっているため、ダイヤモンドを守るために、パトカーによる護衛や、マシンガンを構えた警備員などが24時間365日体制で警備にあたっています。
これは、ダイヤモンドが非常に高価であるため、犯罪者の狙いとなることが多いためです。
アントワープのダイヤモンド業界は、その高い警備体制によって、安全な取引が行われていることが保証されています。
ダイヤモンドの全てを取り仕切る機関「Antwerp World Diamond Centre」
AWDC(Antwerp World Diamond Centre)は、ベルギーのアントワープに本部を置くダイヤモンドの貿易と産業を統括する機関です。
AWDCは、ダイヤモンドの鑑定、鑑別、取引、教育、輸出、宣伝などに関する活動を行い、アントワープを世界的なダイヤモンドの中心地として位置付けることを目的としています。
ダイヤモンドを取引する際には、AWDCの登録手続きを行い、審査を受ける必要があります。
その審査には、法的な規制や倫理規範の遵守、品質管理の実施などが含まれ、AWDCはこれらの基準を厳密に守ることを求めています。
AWDCに登録されたダイヤモンド取引業者は、高品質で信頼性の高いダイヤモンドを提供しなければいけません。
このようにAWDCは、世界のダイヤモンド市場において重要な役割を果たしており、アントワープのダイヤモンド産業を支える重要な組織の一つとなっています。
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品質保証「Diamond and Antwerp」
DnA(Diamonds & Antwerp)は、アントワープのダイヤモンド業界が認定するブランドで、品質保証のために導入されたシステムです。
DnAブランドを持つダイヤモンドは、AWDCによって厳しい品質基準を満たし、正当な手順で生産され、正直な方法で取引されたものであることが保証されています。
品質の評価・ダイヤモンド研究機関「Hoge Raad voor Diamant」
HRD(Hoge Raad voor Diamant)はダイヤモンドの品質評価や研究開発を行うために設立された、世界最大のダイヤの研究機関でアントワープに本部があり、AWFCによって運営されています。
IDC規則
IDC規則は、HRDが策定し、HRDが所有している規格です。
IDC規則(International Diamond Council Rules)は、世界のダイヤモンド取引におけるルールや基準を定めた国際協定です。
2000年に採択され、ベルギーのアントワープで開催された「ワールド・ダイヤモンド・コングレス」で発表されました。
この規則に従うことで、ダイヤモンドの品質や価格に関する情報が適切に伝えられ、取引が公正かつ透明に行われるようになっています。現在、世界中の主要なダイヤモンド取引所で採用されています。
HRDは、このIDC規則に基づいてダイヤモンドの格付けを行うことで、国際的に信頼されるダイヤモンドの鑑定を行っています。
偽物は絶対に許さない!厳しい罰則!!
世界的に権威のあるダイヤモンド鑑定書(品質保証書)の発行機関は、GIA(Gemological Institute of America)とHRD(Hoge Raad voor Diamant)が主要なものとなります。
これらの鑑定機関が発行する鑑定書には、ダイヤモンドの品質や特徴が記載されており、購入者や業界関係者に信頼性が高く、価値のある情報を提供しています。
ダイヤモンドの取引には鑑定書が非常に重要なため、鑑定書に虚偽の記載があると、法的に厳しい罰則がが科されることがあります。
アントワープでのダイヤモンドツアー
アントワープでは、ダイヤモンド関連の観光スポットがいくつかあります。以下は、アントワープでのダイヤモンドツアーにおすすめのスポットです。
- ダイヤモンド街(Diamond District):アントワープのダイヤモンド取引の中心地であり、世界中から宝石商やバイヤーが集まるエリアです。ペリカン通り(Pelikaanstraat)やアポロニウス通り(Appelmansstraat)周辺には、多くのダイヤモンドショップが立ち並びます。
- DIVA アントワープ宝石博物館(DIVA Antwerp Home of Diamonds):ダイヤモンドや宝石に関する展示を通して、アントワープのダイヤモンド産業の歴史や技術を学べる博物館です。ワークショップやイベントも定期的に開催されています。
- アントワープ・ダイヤモンド・センター(Antwerp Diamond Center):ダイヤモンドのカットや研磨工程を見学できる場所で、事前予約が必要です。見学ツアーでは、ダイヤモンドの歴史や製造過程を学ぶことができます。
- ド・ロメ・ベルディフ・ダイヤモンド(De Rome Beers Diamond):アントワープのダイヤモンド商社で、見学ツアーが用意されています。ここでは、ダイヤモンドの歴史やカット技術を学べるだけでなく、製造工程も間近で見ることができます。
これらのスポットを訪れることで、アントワープのダイヤモンド産業の歴史や技術、そして現代のダイヤモンドビジネスを体感することができます。
また、ダイヤモンドショップを巡ることで、様々なデザインや価格帯のダイヤモンド製品を見ることができ、ショッピングも楽しめます。
ダイヤモンドを買おう!
アントワープで購入できるダイヤモンド製品は、リング、ネックレス、ブレスレット、ピアス、時計など幅広い品揃えがあります。
また、アントワープでのダイヤモンド製品の購入は、品質の高さや豊富なデザインが魅力となっています。
アントワープのダイヤモンド街(Diamond District)は、ダイヤモンドショップが集まる地域で、特にペリカン通り(Pelikaanstraat)やアポロニウス通り(Appelmansstraat)周辺には多くのショップがあります。
ここでは、さまざまな価格帯のダイヤモンド製品が取り揃えられており、世界各地からの観光客がショッピングを楽しんでいます。
ショッピングをする際は、信頼できるダイヤモンドショップを選ぶことが大切です。
アントワープ・ダイヤモンド・ハイ・カウンシル(Antwerp World Diamond Centre、AWDC)が認定したショップや、ベルギー宝石業協会(Federation of Belgian Diamond Bourses)の加盟店などが安心できる選択肢となります。
また、品質や価格が明確に示されているショップを選ぶことがおすすめです。
アントワープで購入したダイヤモンド製品には、国際的なダイヤモンド認証機関による証明書が付いていることが一般的です。
これにより、購入したダイヤモンドの品質が保証され、後々のトラブルを避けることができます。
まさにダイヤモンド街!アントワープ!!
このようにアントワープのダイヤモンド関連産業は、歴史と伝統を受け継ぎながら、最新の技術と専門知識を結集して、常に高品質なダイヤモンドを提供することに注力しています。
また、鑑定書によって品質が厳格に管理され、信頼性が高く評価されています。そのため、アントワープのダイヤモンドは世界的な需要が高く、高額で取引されています。